最新記事

ライフスタイル

スキー・スノボに行かなくなった(行けなくなった)若者たち

2020年2月19日(水)13時45分
舞田敏彦(教育社会学者)

91年には20代前半の4割近くがスキーに行っていたが Pilin_Petunyia/iStock.

<20代前半のスキー実施率は過去25年で3分の1に低下――多忙、経済的余裕がない、自宅でネットをする方がいい等、要因は色々考えられる>

暖冬で雪が降らず、全国各地のスキー場が営業停止に追い込まれている。現地の飲食店やホテルにも客が入らず、地域経済への打撃は大きい。

こういう気象条件がなくても、スキー場に訪れる人は年々減ってきている。総務省の『社会生活基本調査』によると、過去1年間にスキーをした国民(15歳以上)の割合は、1991年では13.5%だったが、2016年では5.0%となっている。バブル期では7人に1人だったが、近年では20人に1人だ。実数にすると1354万人から536万人と、半分以下に減っている。「スキー場の閉鎖相次ぐ」というニュースが耳に入るわけだ。

業界関係者にすれば頭の痛い話だが、なぜこういうことになっているかは年齢別のレジャー活動の傾向をみるとすぐに分かる。スキーの実施率を年齢層別に出し、線でつないだ折れ線グラフにすると<図1>のようになる。

data200219-chart01.jpg

40代以降では変化はないが、それより下の若年層では実施率が下がっている。20代前半では、1991年の38.6%から2016年の13.7%と、3分の1にまで落ちている。

大学進学率の上昇により自由時間の多い学生が増えていることを思うと、いささか奇妙に感じる。だが今の学生は学費稼ぎのバイトをしたり、大学の締め付けが厳しくなっているために学業(宅習)に時間を取られたりと、以前よりも忙しくなっている。親世代も苦しく、仕送りは90年代の頃からかなり減っていてカネもない。経済的余裕があっても、スキー板をかついで遠出するより、自宅でネットをする方を好む。このように背景にある要因は色々考えられる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米バークシャー、アルファベット株43億ドル取得 ア

ワールド

焦点:社会の「自由化」進むイラン、水面下で反体制派

ワールド

アングル:ルーブルの盗品を追え、「ダイヤモンドの街

ビジネス

NY外為市場=ドル、対円で横ばい 米指標再開とFR
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 5
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 6
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 7
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 8
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 9
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 10
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中