米大統領選候補者選び 民主党、新方式採用で何が変わるか
「スーパーチューズデー」の比重は高まるか
選挙戦の幕開けとなる2州、つまりアイオワ州とニューハンプシャー州は、候補者指名において常に他州より大きな役割を演じてきた。
今年の場合、「スーパーチューズデー」となる3月3日には14州で投票が行われ、さらに大きな影響力を持つ可能性がある。
カリフォルニア州は予備選挙の日程を6月上旬から「スーパーチューズデー」に移動させた。テキサス州もすでに「スーパーチューズデー」に名を連ねている。つまり、国内で最も人口が多く、代議員数にして合計643人、しかも多くのヒスパニック系人口を抱える2州が同じ日に投票を行うことになる。
「スーパーチューズデー」の比重が高まることで最も注目度が低下するのがサウスカロライナ州だ。伝統的にサウスカロライナ州は、米国南部において最初に予備選挙を行う州であり、かなりの数の黒人住民が投票を行う最初の州だった。
今年、サウスカロライナ州の予備選挙は、「スーパーチューズデー」をわずか3日後に控えた2月29日である。同州におけるほとんどの世論調査では、ジョー・バイデン元副大統領がかなりのリードを保っている。
サウスカロライナ州の選挙運動員らによると、今年はすでに候補者の同州訪問が減少しているという。世論調査で大きな差をつけられている州で選挙運動をするか、「スーパーチューズデー」各州での情勢改善に努めるか。その選択を迫られたら、多くの候補者がサウスカロライナ州にほとんど関心を注がなくなる可能性はある。
民主党候補者を予想できるのはいつか
民主党の今年の日程は、過去の大統領候補者指名サイクルに比べて短縮されており、投票のスピードアップによって、これまでより迅速に大統領候補が決定される可能性がある。
当初、20人を超す候補者が出馬意欲を示したことにより、民主党関係者はひそかに、候補者の増加で指名争いが数か月にわたって続くのではないかと気を揉んだ。
2016年にはサンダース氏が勝利の展望がなくなった後も撤退を拒んだ。今回もそれが再現されるのではないかという懸念から、選挙戦の長期化への恐れはさらに深まった。
だが、民主党の有力候補の幅は急激に狭まっている。ニューハンプシャー州予備選の前日の時点で、民主党では11人の候補者が残っているが、全国レベルで5%以上の支持を得ているのは6人にすぎない。
日程が短縮されたことで、1人の民主党候補が支持を固めるのに必要な期間も短縮されるかもしれない。「スーパーチューズデー」が終わった時点で、米国の有権者の30%近くが候補者指名に参加できるチャンスを得ることになる。3月末までには民主党の代議員の50%以上が予備選挙や党員集会で投票を行う予定だ。
「スーパーチューズデー」での勝利に向けて、序盤の予備選挙で勢いに乗りたいと考える候補者の運動に水を差そうと狙っている候補が1人いる。マイケル・ブルームバーグ氏だ。
メディア界の大物である大富豪で、元ニューヨーク市長のブルームバーグ氏は、指名争いに名乗りを上げたのは遅かったものの、自分の資産から数百万ドルを投じて、「スーパーチューズデー」の表舞台に躍り出ようとしている。
同氏が「スーパーチューズデー」で十分な代議員を確保すれば、他の候補者が支持を固め、指名を確実にすることは難しくなるだろう。