最新記事

米軍

イランの射程内に駐留米軍はこんなにいる

The U.S. Has Tens of Thousands of Troops Near Iran, Here's Where They Are

2020年1月9日(木)12時20分
トム・オコナー

■バーレーン

第2次世界大戦中、イタリアの空襲を受けたイギリス軍を支援するために小さな島国バーレーンに米軍部隊が送られた。それ以来、米軍の駐留が続いている。首都マナーマには、第5艦隊司令部があり、アメリカ中央軍海軍部隊司令部としても機能している国全体に駐留する米軍部隊は多いときで7000人。

バーレーンを数世紀にわたって統治してきた君主はスンニ派イスラム教だが、人口の大半をシーア派イスラム教徒が占めている。国王はシーア派の国民に対するイランの潜在的な影響に不安を表明しており、昨年設立されたペルシャ湾をパトロールする米主導の有志連合にいち早く参加した。

米軍関係者は3日、本誌に対して、バーレーンの米軍パトリオット地対空ミサイル防衛システムが警戒態勢をとったことを伝えた。

■イラク

アメリカとイランはともにISと戦うイラクを支援していたが、ISを打ち負かした後、アメリカがイランに「最大の圧力」をかける戦略を実行したため、新たに国際的な緊張が高まった。

米軍が駐留するイラク北部の基地にロケット砲が撃ち込まれた昨年末の事件(犯人は不明だがアメリカはイランが支援するシーア派武装組織の仕業と断定)や、イラクの米軍基地にミサイルを撃ち込んだイランの革命防衛隊による1月8日の報復攻撃からすると、イラクの国土は2つの外国勢力の戦いの場と化すおそれがある。

数カ月に渡って反政府デモを続けてきたイラク国民の多くは、イランがイラクに影響を与えることに反感を示してきたが、バグダッド国際空港近くで米軍の作戦により殺されたスレイマニとムハンディスを追悼する集会には、多くの人が集まった。トランプは、イラクが駐留米軍6000人を国外退去させるつもりなら、イラクに制裁を科すと警告した。

■ヨルダン

ヨルダンは数十年に渡って西側と親しい同盟関係を続けており、イスラエルと和平協定を結んだ数少ないアラブ諸国の1つだ。ヨルダンは、隣接するシリアの反政府勢力を支援する米国主導のプログラムを手伝ったが、この支援はシリアにある米軍の前哨基地で活動する武装反政府勢力に限定されていた。
ヨルダンは、IS打倒ミッションの一環として約3000人の米軍部隊を受け入れている。ただし、地域がますます不安定になっていくことについては、警戒感を表明している。

■クウェート

1991年にクウェートを侵攻したイラク軍を打ち負かした後、アメリカはクウェートと軍事協定を締結した。それ以来、中東における米軍の最も重要な拠点になっている。昨年10月、トランプはシリアからの駐留米軍一部撤退を命じたが、その後クウェート駐留の米軍部隊はシリア東部に再配備され、地域の石油資源の支配を強化した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アマゾン河口油田開発、エクソンモービルや中国石油な

ワールド

オーストラリア、EUと安全保障・防衛協力巡る交渉開

ビジネス

貿易収支5月は6376億円の赤字、対米輸出は自動車

ワールド

イスラエル・イラン紛争6日目に、トランプ氏「無条件
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 3
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火...世界遺産の火山がもたらした被害は?
  • 4
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 5
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 10
    コメ高騰の犯人はJAや買い占めではなく...日本に根…
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中