最新記事

米軍

イランの射程内に駐留米軍はこんなにいる

The U.S. Has Tens of Thousands of Troops Near Iran, Here's Where They Are

2020年1月9日(木)12時20分
トム・オコナー

1月4日時点の中東およびアフガニスタンにおける米軍駐留状況 STATISTA

<イランは以前から、中東のすべての米軍基地がイラン軍あるいはイランの指揮下にある武装組織のミサイルの範囲内にあると言ってきた。その射程内にはこれだけ多くの米軍が駐留している>

アメリカは中東全域とアフガニスタンに何万人もの米軍兵士を駐留させている。イランとアメリカの全面衝突が懸念されるこの時期、部隊の多くがイランに近い国々に配備されている。

イランの国民的英雄の一人で、革命防衛隊の精鋭「クッズ部隊」のカセム・スレイマニ司令官、およびイラクの民兵組織指導者アブ・マハディ・アルムハンディスを殺害したドナルド・トランプ大統領の決断は、中東地域全体に衝撃を与えた。

トランプ政権は、特殊部隊の司令官であるスレイマニが米軍や外交官に対する攻撃を計画していたと主張したが根拠は薄く、イラン人は怒り、駐留米軍を受け入れている穏健な中東諸国もまずい立場に追いやられた。イラク国会では、イラクから米軍の撤退を求める決議が採択された

国務省のモーガン・オータガス報道官は、本誌あての声明で、トランプ政権は「国会の行動に失望している」と語った。

イラン国民が英雄視する軍司令官を米軍に殺害されたイランは、アメリカに報復を誓っている。なかでも、米軍の軍事施設が標的だという。イランのミサイルは、イランと周辺国の駐留米軍すべてを射程に入れているといい、いつ頭からミサイルが降ってこないとも限らない。そしてそこには、何万人もの米軍兵士がいる。どこにどれだけ、何のために駐留しているのかをまとめた。

<参考記事>トランプが52カ所攻撃するなら、イランは300カ所攻撃する

webw200108-usarmy02.jpg

ISと戦うためイラクのバグダッドに到着したアメリカ中央軍(CENTCOM)司令官(左、2019年2月17日) Phil Stewart-REUTERS

中東に展開する米軍の状況

■アフガニスタン

死者約3000人にのぼる9・11テロの数週間後、アメリカはアフガニスタンに軍事介入した。それ以来、米軍は近隣の中東諸国で「テロとの戦い」を展開している。アメリカはタリバンを崩壊させることができたが、タリバンは強力な反政府勢力として生き延び、戦いから18年後の今も着実に地域の支配を取り戻している。

ニューズウィークは8月に、アメリカがアフガニスタンに駐留する米兵約1万4000人を半分以下の約6000人に減らす計画を検討したことを報じた。ただしこの計画はその後、爆弾テロが発生したため中止された。

<参考記事>軍事力は世界14位、報復を誓うイラン軍の本当の実力
<参考記事>イラン軍司令官を殺しておいて本当の理由を説明しようとしないトランプは反アメリカ的

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

タイGDP、第3四半期は前年比+1.2% 4年ぶり

ビジネス

持続的・安定的な2%達成、緩和的状態が長く続くのも

ワールド

豪首相、トルコとのCOP31共催否定 開催地争い決

ビジネス

野村HDがインド債券部門調査、利益水増しの有無確認
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 6
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中