最新記事

中国

日本を誤導──安倍首相「国賓招聘のため」習主席と会談

2019年12月26日(木)14時10分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

【北朝鮮問題】

両首脳:朝鮮半島の非核化に向け国連安全保障理事会決議の履行が重要との認識で一致。

習氏:中国とロシアが提案した対北朝鮮制裁緩和に関する国連安保理決議案への支持を要請。

ここで習近平が具体的に指しているのは、12月16日に中国とロシアが「北朝鮮に対する制裁の一部解除を求める決議案を国連安全保障理事会に提出した事実」である。これは「段階的非核化」という「中露朝3ヵ国」の同調路線であって、「日米」とは対立する主張だ。それを安倍首相は「北朝鮮問題においても習近平国家主席とは意見の一致を見た」という趣旨の話をしているのは誠実ではない。日中両首脳は「一致していない」。

国賓招聘の必要性を安倍首相は説明すべき

習近平を「国賓」として招聘したいと言い出したのは日本側だ。

4月26日のコラム<中国に懐柔された二階幹事長――「一帯一路」に呑みこまれる日本>にも、その一部を書いたが、安倍首相は先ず、「この私を国賓として中国に招いてください」と習近平に懇願した。習近平は最初、「考えてみる」と言っただけで安倍首相をじらし、「国賓として中国に来たいのなら、まず一帯一路に協力することだ」と交換条件を突き付けた。そこで二階幹事長が安倍首相の親書を携えて「一帯一路フォーラム」などに参加して習近平に会い、「一帯一路」に協力することに賛同する姿勢を示した。それにより中国は「遂に勝利した」と確信して、アメリカによる対中制裁が強まる中、安倍首相をコントロールし始めたのだ。

安倍首相はただの一度も「なぜ習近平を国賓として招聘しなければならないか」に関して説明したことはない。いかなるメリットを日本国民にもたらすかを説明する義務が安倍首相にはある。

習近平の国賓招聘は、日本を大きく誤導する。

百歩譲って、国賓ではないレベルでの公式訪問であれば、まだ受け入れてもいい。

野党も実に情けない。日本国民の税金の使い道、天皇陛下の政治利用、そして「なぜ国賓でなければならないのか」に関して安倍首相に説明を求めるべきではないのか。

野党に声を上げる力がない中、むしろ自民党議員の中に反対の意見が出始めた。非常に頼もしい限りだ。

読者の皆様にも、是非とも声を上げて頂きたいと心から切望する。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

[執筆者]遠藤 誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』(11月9日出版、毎日新聞出版 )『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。

この筆者の記事一覧はこちら≫

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米経済、イラン情勢の打撃なし 海峡通航徐々に再開と

ワールド

EXCLUSIVE-イラン新最高指導者、米との緊張

ビジネス

独ZEW景気期待指数、3月は-0.5に急低下 中東

ビジネス

JPモルガン、英利下げ時期の予想を先送り 27年第
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在の価値でどれくらい? 誰が何のために埋めた?
  • 3
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったのか?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    「危険な距離まで...」豪ヘリに中国海軍ヘリが異常接…
  • 6
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 7
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングア…
  • 8
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 9
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 10
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中