最新記事

災害

オーストラリア大規模森林火災収まらず NSW州再び非常事態宣言、煙霧シドニー覆う

2019年12月19日(木)15時41分

大規模な森林火災が続いているオーストラリアのNSW州で、ここ2カ月で2度目の非常事態が宣言された。写真左は19日、濃い煙霧に覆われるシドニーのオペラハウス(2019年 ロイター/Stephen Coates)

大規模な森林火災が続いているオーストラリアのニューサウスウェールズ(NSW)州で19日、ここ2カ月で2度目の非常事態が宣言された。高温と強風によって火の勢いが増しており、シドニーは濃い煙霧に覆われて屋外での活動がしづらくなっている。

7日間の非常事態宣言により、消防当局は住民の避難や道路の封鎖などで幅広い権限を与えられる。

同州では100件前後の火災が発生しており、その半分以上は鎮火のめどが立っていない。一部の地域で気温が摂氏45度まで上昇すると予報されるなか、州政府当局は住民に警戒を呼び掛けている。

ベレジクリアン州首相はシドニーで記者団に「今後数日間で最も懸念されるのは、極度の強風と高温で予測が不可能になっていることだ」と語った。

クリスマスが近づき、通常なら海岸のリゾートが観光客でにぎわう季節だが、旅行計画については慎重に再考するよう同首相は警告した。

オーストラリア東部では大規模な森林火災が数週間にわたって続いており、これまでに6人が死亡、680戸以上の住宅が損壊、約120万ヘクタールの低木林の土地が消失している。

モリソン首相はここ数日、緊急事態にもかかわらず休暇を取って海外旅行に行っていたことや、政府が適切な気候変動対策を取っていないことについてソーシャルメディアで激しい非難にさらされている。

NSW州の救急救助当局によると、過去1週間に呼吸困難を訴える患者からの通報が10%増えているという。当局は呼吸器系統に問題がある人々に対し、外出せずに医薬品などを備えておくよう呼び掛けている。

深刻な森林火災に追い打ちをかけているのが異常な高温だ。現在オーストラリアは熱波に見舞われており、17日は国内の全観測地点の最高気温の平均が摂氏40.9度を記録し、観測史上最も暑い1日となった。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191224issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

12月24日号(12月17日発売)は「首脳の成績表」特集。「ガキ大将」トランプは落第? 安倍外交の得点は? プーチン、文在寅、ボリス・ジョンソン、習近平は?――世界の首脳を査定し、その能力と資質から国際情勢を読み解く特集です。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インタビュー:日銀利上げは早くて来年3月か、高関税

ビジネス

米国向け銅輸出加速へ 関税前に駆け込み=ゴールドマ

ビジネス

アングル:トランプ政権「投資誘致」の実態、バイデン

ワールド

リトアニアとフィンランド、対人地雷生産へ ウクライ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「ヒラリーに似すぎ」なトランプ像...ディズニー・ワールドの大統領人形が遂に「作り直し」に、比較写真にSNS爆笑
  • 4
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 5
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 6
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 7
    自由都市・香港から抗議の声が消えた...入港した中国…
  • 8
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 9
    人種から体型、言語まで...実は『ハリー・ポッター』…
  • 10
    「けしからん」の応酬が参政党躍進の主因に? 既成…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 3
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸せ映像に「それどころじゃない光景」が映り込んでしまう
  • 4
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 7
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 7
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中