最新記事

動物

頭と鼻を切られた牙なしスマトラゾウ 絶滅危惧種の密猟に警察も関与?

2019年11月21日(木)18時35分
大塚智彦(PanAsiaNews)

密猟の犠牲となったスマトラゾウの死因を調査する自然保護局関係者 BKSDA Riau via JakartaPost

<インドネシアのスマトラ島にしかいない象。密猟が後を絶たない理由とは>

インドネシア・スマトラ島のリアウ州のプランテーション内にあるジャングルで絶滅危惧種に指定されているスマトラゾウの死骸が発見された。死骸は頭部と鼻が切断され、象牙が現場から消えていたことから密猟者によって殺されたものとみて自然保護当局や地元警察は密猟者の捜索を始めた。

英字紙「ジャカルタ・ポスト」などが伝えたところによると、リアウ州・ベンカリス県にある「アララ・アバディ(AA)社」所有のプランテーションにあるユーカリの林で伐採作業中の作業員が18日午前、異臭が漂っていることに気が付いた。そして周囲の林を探したところ、ゾウ1頭の腐乱死体を発見したという。

作業員は伐採監督を通じてAA社にすぐに連絡し、同社は地元自然保護局にも連絡したというが、現地の携帯電話の電波状況がよくなく、同局に報告が届いたのは19日夕方になってしまったという。

その後現場に同局関係者、獣医、ゾウの専門家など11人が駆けつけてゾウの死骸の状況を詳しく調査、検死結果からゾウは死後約1週間が経過し、約40歳のオスであることなどが判明した。

死骸の頭部・鼻が切断、象牙は行方不明

ゾウの死骸はすでに腐敗が始まっており、頭部が切断され、さらに鼻も切られて胴体の約1メートル横に放置されていた。また象牙も切り取られて持ち去られたとみられ、現場付近から消えていたという。

リアウ州の自然保護局担当官は「象牙の密猟者によって殺された可能性が極めて高い」とみて地元警察と協力して密猟者の発見に全力を挙げる方針を示している。

インドネシアの闇市場では象牙は高額で取引され、マラッカ海峡などの海路を経て国外に持ち出す闇のルートが存在しているといわれ、一刻も早い密猟者の発見と象牙の回収が求められている。

ただ、過去に地元有力者や警察関係者が密猟や密輸出に関与していたケースもあり、密猟者の摘発と象牙の発見回収は実質的に困難との見方もでている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国輸出、3月は約40年ぶり高い伸び 半導体151

ワールド

UAE、米国などによるホルムズ海峡の武力開放支援へ

ワールド

米国務長官、イラン戦争の「ゴールライン見えてきた」

ワールド

ブラジル大統領、副大統領候補にアルキミン氏再指名 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 3
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 4
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 5
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 6
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 7
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 8
    韓国・週4.5日労働制が問いかけるもの ──「月曜病」解…
  • 9
    「え、なんで?」フライト中に操縦席の窓が覆われて…
  • 10
    アリサ・リュウの自由、アイリーン・グーの重圧
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 7
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 8
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 9
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中