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ウクライナ疑惑

弾劾調査に大きなヤマ場、反トランプ証言を全米にライブ中継

Now the Public Gets to Decide on Impeachment

2019年11月13日(水)15時55分
エイミー・マッキノン

下院での非公開証言から新しい情報が出てきたため、ここ数週間で共和党の防衛戦術は変化した。

共和党は当初、弾劾手続きそのものを攻撃し、民主党主導の調査は違法だと主張した。反トランプの証言した軍幹部2名とベテラン外交官は、大統領に対する国家的陰謀を企んでいると中傷した。

だが、共和党議員の間で回覧されていたメモを報じたニューヨーク・タイムズの記事によれば、共和党は公聴会を乗り切る戦略として、トランプはウクライナにおける腐敗について純粋に懸念を抱いたまでで、軍事援助を一時保留したことは「完全に合理的」だったという主張になっていた。

結局のところ、強硬なトランプ支持者は、公聴会からどんな証拠が出ようと、大統領を擁護する主張を発展させていくだけだ。

側近の証言がカギ

弾劾調査において以前からカギとされているのは、ジュリアーニが関与した後のウクライナとアメリカの関係がどう変わったかを証言することができるホワイトハウス高官を下院に呼び、質問する機会を得られるかどうか、ということだ。

国務省の高官らは弾劾調査への協力を禁じたマイク・ポンペオ国務長官の命令に背いて証言した。しかし、ジョン・ボルトン元国家安全保障顧問とその副官だったチャールズ・クッパーマンなど、多くのホワイトハウス高官は、議会からの召喚状が憲法上ホワイトハウスの命令に勝るかどうか、裁判所の判断を求める訴訟を起こした。

ミック・マルバニー大統領首席補佐官代行は一時、自身もこの訴訟に参加することを表明。現役スタッフとして大統領と反対の側に立つというきわめてまれなケースになりそうだった。だが、ボルトンらの弁護士からの反対で11日に訴訟への参加を撤回、ホワイトハウスの命令に従うことにした。

シフは、政府高官の証言を妨げるトランプ政権の行為は、司法妨害も同然であり、それ自体が弾劾の根拠となりうると主張している。

裁判所は12月中旬にこの件に関する決定を下すと見られており、そのころには下院も弾劾調査を終わらせることができそうだ。

スケジュールによっては時間切れとなり、弾劾のカギを握る当局者は証言を免れることができるかもしれない。ただし裁判所の決定次第では、ぎりぎりのところで議会の証言台に引きずり出される可能性もある。

(翻訳:栗原紀子)

From Foreign Policy Magazine

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