最新記事

ウクライナ疑惑

NSC高官「ウクライナによる選挙干渉疑惑はロシアの作り話」 トランプ弾劾公聴会で証言

2019年11月22日(金)08時58分

トランプ米大統領のウクライナ疑惑を巡る米下院情報特別委員会の弾劾公聴会で、国家安全保障会議(NSC)のヒル元上級部長(左)は21日、ウクライナによる2016年大統領選への干渉疑惑はロシアが拡散した「作り話」であると証言した(2019年 ロイター/LOREN ELLIOTT)

ランプ米大統領のウクライナ疑惑を巡る米下院情報特別委員会の弾劾公聴会で、国家安全保障会議(NSC)のヒル元上級部長(欧州、ロシア担当)は21日、ウクライナによる2016年大統領選への干渉疑惑はロシアが拡散した「作り話」であると証言した。

ヒル氏は「当委員会の委員の中にはロシアではなくウクライナが選挙介入を行ったと考える向きもあるようだが、これはロシア側が広めた作り話だ」と発言。「弾劾調査においては各委員ともロシアに有利な政治主導の虚偽を宣伝しないようお願いしたい」と述べた。

またロシア側は来年の大統領選への干渉に向け準備を進めており、阻止するための時間はあまり残されていないと指摘した。

さらに、トランプ氏の個人弁護士を務めるジュリアーニ氏によるマリー・ヨバノビッチ前駐ウクライナ大使への中傷について、ヒル氏はボルトン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に遺憾だと伝えたことを明らかにし、ボルトン氏は心苦しそうに「(ジュリアーニ氏による中傷に)対応できないことを基本的にはボディーランゲージで示していた」と語った。

一方、ともに公聴会に出席した在ウクライナ米大使館のホームズ参事官は、ウクライナ外交を巡って3月以降、ジュリアーニ氏が幅をきかせるようになったと証言。7月18日に行政管理予算局(OMB)の当局者が対ウクライナ軍事支援の凍結を明らかにした際、「衝撃を受けた」とし、「この当局者によると、指示は大統領からで、マルバニー首席補佐官代行を通じてOMBに伝えられた」とした。

ホームズ氏は7月26日のトランプ氏とソンドランド駐欧州連合(EU)大使との電話に関しても証言。トランプ氏がソンドランド氏に対し、調査に関するウクライナのゼレンスキー大統領の意向について尋ねると、ソンドランド氏は調査を実施する方針であることを伝えたという。

またゼレンスキー大統領がトランプ氏からの依頼なら何でも行うつもりであることをソンドランド氏が述べていたことも明らかにした。

ソンドランド氏は20日の証言で7月26日のトランプ氏との電話について詳細を思い出せないとした。トランプ氏もソンドランド氏との電話を覚えていないと述べている。

情報特別委の弾劾公聴会は21日が最終日となる。

*内容を追加しました。

[ワシントン 21日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191126issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

11月26日号(11月19日発売)は「プラスチック・クライシス」特集。プラスチックごみは海に流出し、魚や海鳥を傷つけ、最後に人類自身と経済を蝕む。「冤罪説」を唱えるプラ業界、先進諸国のごみを拒否する東南アジア......。今すぐ私たちがすべきこととは。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

5月停戦案と直接協議、ウクライナの返答待っていると

ビジネス

貿易戦争、ユーロ圏の成長とインフレ抑制も=ECBチ

ワールド

韓国最高裁、李在明氏に5月1日に判決 公選法違反の

ワールド

パキスタン、インドの水資源協定停止に法的措置を準備
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【クイズ】米俳優が激白した、バットマンを演じる上…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 8
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中