最新記事

弾劾調査

<弾劾調査>トランプを恐れ縮み上がる国務省、いじめや脅しも

5 Takeaways From the Trove of Impeachment Testimony Released Monday

2019年11月5日(火)17時00分
エイミー・マッキノン、ロビー・グレイマー

3.ヨバノビッチは「厄介な人物」

大使を解任される前、ヨバノビッチはウクライナのアルセン・アバコフ内相から「(裏切りや中傷に)気をつけろ」と助言を受けていた。彼女は2月にアバコフから、ジュリアーニの調査に協力している2人の実業家が駐ウクライナ米大使の交代を望んでいると聞いたという。また彼女によれば、アバコフは、ワシントンの党派政治に巻き込まれるとウクライナの国益が損なわれるから、ジュリアーニとは会わないとも語ったという。

トランプは7月25日にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と行った電話会談の中で、ヨバノビッチのことを「厄介な人物」と称し、今後「いくつかの試練を経験するだろう」と語った。ヨバノビッチはこの発言を知って脅威を感じたと証言した。「どういう意味なのかまったく分からないが不安だ」と彼女は語り、仕事や年金について心配していると述べた。また彼女自身は身の危険を感じていないが、友人たちは心配しているとも語った。

4.「こんな事態は初めてだ」

下院外交委員会のエリオット・エンゲル委員長は、ポンペオの上級顧問だったマッキンリーに対して、トランプ政権が政敵バイデンに不利な情報を集めさせようとしたことが上級顧問を辞めた理由のひとつだったのかと尋ねた。

マッキンリーは次のように答えた。「それは確かだ。私は国務省に入って37年になる。これまで世界のさまざまな場所で数多くの問題に取り組んできたが、こんな事態は初めてだった」

5.いじめ、おどし、ウソ

ポンペオの上級顧問を辞任したマッキンリーは、ジョージ・ケント国務次官補から受け取ったメモに、国務省のある弁護士が、下院に召喚された政府関係者をいじめたり脅したりしていると思しきことが書いてあったと言った。

ケントはこのメモのなかで、国務省は議会からの資料請求に満足に応えていないと懸念を示した。また10月1日にポンペオが議会に送った手紙に弾劾調査に協力すると書いてあるのは不正確だとも書いた。

マッキンリーはこのメモを深刻に受け止め、サリバン副長官や法律顧問を含む国務省幹部に送ったが、返事はなかった。「文字通り一言もなかった」と、彼は下院に証言した。

From Foreign Policy Magazine

(翻訳:森美歩)

20191112issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

11月12日号(11月6日発売)は「危ないIoT」特集。おもちゃがハッキングされる!? 室温調整器が盗聴される!? 自動車が暴走する!? ネットにつなげて外から操作できる便利なスマート家電。そのセキュリティーはここまで脆弱だった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米軍「麻薬船」攻撃、生存者殺害巡り民主・共和の評価

ビジネス

アマゾンと米郵政公社、「ラストマイル配送」契約更新

ワールド

トランプ政権の対中AI半導体輸出規制緩和を禁止、超

ビジネス

NY外為市場=ドル小幅高、米利下げ観測で5週ぶり安
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 6
    「ロシアは欧州との戦いに備えている」――プーチン発…
  • 7
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 8
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 9
    【トランプ和平案】プーチンに「免罪符」、ウクライ…
  • 10
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 4
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 10
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中