最新記事

災害

台風19号、関東中心に記録的な風雨 2人死亡

2019年10月12日(土)22時14分

気象庁は、東京都や埼玉県など1都6県に大雨特別警報を出した。大型で非常に強い台風19号が午後6時ごろには静岡県から関東南部に接近、上陸する恐れがある。写真は10月12日、人気のなくなった神奈川県横浜市で撮影(2019年 ロイター/Matthew Childs)

台風19号は12日午後9時過ぎ、強風を伴い、東京都などで雨足を強めている。気象庁は最大レベルの警戒を呼びかける大雨特別警報を1都11県に発表。突風などで2人が死亡、各地の河川で水位が上昇した。台風はこのあと関東北部を通り、13日未明には東北沖の太平洋に抜ける見通し。

気象庁によると、台風は午後7時前、強い雨と風を伴い伊豆半島に上陸した。国土交通省によると、埼玉県東松山市の都機川が氾濫。NHKによると、長野県上田市の千曲川も氾濫した。都内の多摩川や神田川を含め、各地の河川も氾濫危険水位に達している。国土交通省がホームページで提供する川の水位情報は、アクセスが集中して不具合が発生した。

気象庁は午後9時に会見し、「これまでに経験したことがないような大雨になっている。土砂災害警戒区域、浸水想定区域では何らかの災害がすでに発生している可能性がきわめて高い」とした。

消防庁が午後6時にまとめた集計によると、台風に関連した死者は1人。千葉県市原市で竜巻とみられる突風で車が横転し、50代の男性が死亡した。静岡県御殿場市で1人が行方不明のほか、各地で33人が重軽傷を負った。また、NHKは群馬県富岡市で裏山が崩れ、1人が死亡、2人が行方不明になっていると伝えている。

半壊や床下浸水など、住宅の被害は34棟。経済産業省によると、全国で約6万4000戸が停電している。

神奈川県は午後9時半、水位上昇に伴い、相模原市にある城山ダムで緊急放流を開始したと発表。国土交通省関東地方整備局によると、群馬県みどり市の草木ダム、栃木県日光市の川治ダムと川俣ダム、埼玉県神川町の下久保ダムも緊急放流を実施する可能性がある。下流地域では浸水への警戒が呼びかけられている。

気象庁は午後3時半、数十年に一度の大雨が予想されるとして、群馬県、埼玉県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県、静岡県に大雨特別警報を発表。その後に茨城県、栃木県、新潟県、福島県、宮城県に警報を拡大した、5つある警戒レベルの最も高い段階に相当する。

気象庁は1958年に神奈川県に上陸し、伊豆半島と関東地方で土砂災害と河川の氾濫が多発した狩野川台風に匹敵する大雨になる恐れがあるとして警戒を呼びかけている。

台風はこのあと北北東に進み、関東を通過する見込み。午後8時45分現在、中心の気圧は960ヘクトパスカル。中心付近の最大風速は秒速40メートル、瞬間最大風速は同55メートルに達する。

*情報を追加しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米9月雇用11.9万人増で底堅さ示唆、失業率4年ぶ

ビジネス

12月FOMCで利下げ見送りとの観測高まる、9月雇

ビジネス

米国株式市場・序盤=ダウ600ドル高・ナスダック2

ビジネス

さらなる利下げは金融安定リスクを招く=米クリーブラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 6
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中