最新記事

香港

「自分は役立たず」デモに参加できない罪悪感に苦しむ香港人留学生

Hong Kong International Students in Minnesota Want To Protest

2019年9月4日(水)19時10分
ジェニー・フィンク

「多くの友人が人生の多くの時間とエネルギーを犠牲にして故郷のために戦っている」と、チュンは言う。「私はただここにいる。まったく役に立っていない」

チョウとチャンは、ミネソタ州から戦いを続けることに決めた。ビデオを作り、デモを支援するイベントを開催する予定だ。たとえ直接の影響は与えられないとしても、何らかの役には立てるはずだと、チョウは言う。

香港出身者が少ないミネソタで集会をしても盛り上がらなそうだが、国際的な圧力が必要だと思う。外からの支援がなければ、香港のデモに勝ち目はない、とチャンは言う。

「香港は小さな土地だ。悲しいことだが、自分たちだけで救うことはできない」と、チュンは説明する。「国際的な力に大きく依存しているのが現状だ。今のところ(世界から香港デモ隊への)反応はあまりなく、本当に残念だ」

卒業後は故郷に帰れるか

中国当局は香港のデモを非難し、デモ参加者の行動を「法の支配を踏みにじる、テロリストのような行為」と呼んでいる。緊張が高まるなかで、米議会は中国の出方に注目している。一部議員は天安門事件のように軍に民間人を攻撃させて抗議行動を弾圧するようなことがあれば、報復措置をとる可能性があると中国政府に警告した。

ドイツのアンゲラ・メルケル首相やカナダのジャスティン・トルドー首相をはじめ世界のリーダーたちも香港のデモについてコメントし、平和的な解決を求めた。

だが、それだけだ。

香港は依然として不安定な状態にあり、今後の展開はまったく予測できない。チョウとチュンはアメリカの大学を卒業後、香港に帰るつもりだったが、今回の反政府運動が失敗した場合は、アメリカで仕事を探すことになるかもしれない。

先を見通すのは容易ではない。そのときは香港は、チュンの知る、そして愛する香港ではなくなっているかもしれないのだ。

(翻訳:栗原紀子)

20190910issue_cover200.jpg
※9月10日号(9月3日発売)は、「プーチン2020」特集。領土問題で日本をあしらうプーチン。来年に迫った米大統領選にも「アジトプロップ」作戦を仕掛けようとしている。「プーチン永久政権」の次なる標的と世界戦略は? プーチンvs.アメリカの最前線を追う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米財務長官、強いドル政策支持再表明 FRBは国民の

ビジネス

米1月ISM非製造業指数、53.8と横ばい 投入コ

ワールド

米イラン、核協議の議題や開催地巡り溝 実現に不透明

ワールド

再送米政権、ミネソタ州派遣の移民職員700人削減へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 3
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流していた? 首相の辞任にも関与していた可能性も
  • 4
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 5
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 8
    アジアから消えるアメリカ...中国の威圧に沈黙し、同…
  • 9
    電気代が下がらない本当の理由――「窓と給湯器」で家…
  • 10
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中