最新記事

香港

どうする「一帯一路」香港サミット2019

2019年9月2日(月)19時09分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

香港の林鄭月娥行政長官。2017年に香港で開催された「一帯一路」サミットで  Bobby Yip-REUTERS

9月11日から12日にかけて、香港で「一帯一路」サミット2019が開催されることになっている。部長級ではあるものの、現状では開催可能なはずがない。では、どうするつもりなのか?

「一帯一路」香港サミット2019

北京政府中央が主催する「一帯一路 国際協力サミット・フォーラム(中国語:一帯一路国際合作高峰論壇)」は今年4月25日から26日にかけて北京で開催された。このサミットには各国の首脳および首脳級のリーダーが参加して習近平国家主席が開会の挨拶をする。

一方、香港特別行政区政府と香港貿易発展局が共催する「一帯一路」香港サミット2019が、9月11日から12日にかけて香港会議展覧センターで開催されることになっている。

このサミットには各国の関連部局の部長か部長級代表および商業界の代表が参加する。今のところ、今回はアジア金融集団の陳智思総裁が開会の挨拶をすることになっている。

しかし、たとえ部長級であるとはいえ、現在のような香港の状態では、とても開催などできるはずがない。各国代表たちは空港を使う。空港はデモ隊に封鎖されているのに等しいような状況なので、安全性がどうかというレベルではなく、そもそも乗り入れできないだろう。

だとすれば、どうするのか。

もしかしたら深センで

8月20日付コラム<「こっちの水は甘いぞ!」――深センモデル地区再指定により香港懐柔>で書いたように、8月9日、中共中央・国務院は「深センを中国の特色ある社会主義先行モデル区に指定することを支持することに関する意見」(以下、「意見」)を発布した。

「意見」では「粤港澳(えつ・こう・おう)大湾区」の発展戦略実現に利し、「一国二制度」の事業発展の新実践を豊かなものに持っていくとしている。繰り返すが、「粤港澳大湾区」とは、「広東(粤)・香港(港)・マカオ(澳)(澳門)」を結びつける「グレーターベイエリア」のことである。

1978年12月から始まった改革開放では、深センを「経済特区」に指定して改革開放路線を進めてきたが、40年後の今日、深センを再び「モデル地区」に指定して新たな戦略に出ている。

「意見」では、香港市民が深センに移ったら多くの優遇策があることなどを謳い文句にしているので、8月20日のコラムでは「香港を懐柔するためだ」と書いた。

その一面はもちろん変わらない。

しかし、9月11日の「一帯一路」香港サミットが目前に迫っていることを考えると......。

そこで、ハッとした。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米首都で34年ぶり軍事パレード、トランプ氏誕生日 

ワールド

再送-米ロ首脳、イスラエル・イラン情勢で電話会談 

ワールド

イスラエル、イランガス田にも攻撃 応酬続く 米・イ

ワールド

アングル:「暑さは人を殺す」、エネルギー補助削減で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生きる力」が生んだ「現代医学の奇跡」とは?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    メーガン妃の「下品なダンス」炎上で「王室イメージ…
  • 10
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 8
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中