最新記事

セクハラ

セクハラ撲滅を阻む新たな問題、「怯える男たち」と「見えない逆襲」

2019年8月22日(木)15時06分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

女性の部下を避ける男性管理職たち

さらに今年初め、世界経済フォーラム(ダボス会議)に参加した男性の経営者たちを対象にLean In Instituteなどが行った調査では、性的な不品行のリスクを減少させる解決策として彼らの多くが採用しているのは、実効性のある制度改革ではないことが明らかになった。彼らが採用した方法は、単に「男性の幹部が女性従業員と関わる機会を最小限にする」ことだ。

ニューヨークタイムズ紙の「#MeTooもう1つの側面:女性への指導を恐れる男性管理職たち」と題された記事では、金融機関のアメリカ人幹部が匿名で次のように証言している。「若い女性の同僚と2人きりになるのはためらう」

男女で2人きりになるのを不安に思う男性は彼だけではない。調査によれば、男性管理職の約半分は女性と共同で作業することに、60%は女性の部下を指導することに居心地の悪さを感じているという。相手が女性だからという理由で、業務において意図的に部下を遠ざけるのは明らかに不適切な行為だ。

#MeToo運動によって何が変わったのか。性的に見られて嫌な思いをしたり、性的な行為を強要されたりする女性は減った。「成功だ! だが男性による(見えにくい形での)嫌がらせ行為を訴える女性の声や、女性への指導を嫌がる男性の声は増えている」と、本誌の取材に答えたジョンソンは指摘する。「男性たちの行動は、悪い方向に変化してしまったのかもしれない」

「女性たちによる権利拡大の運動に対する男性たちの反応が、女性たちを助けることではなく、嫌がらせや女性を卑しめる別の方法を探って抵抗するものだったという結果は驚きだ」

それでも、長年にわたって女性たちを苦しめ、社会における活躍を阻害してきたセクハラという悪習が許されないものと認識され、減りつつあるのはたしかだ。次の課題は、その反動として生じている「見えにくい」セクハラを、社会や企業がどうやって克服していくかになるだろう。


20190827issue_cover200.jpg
※8月27日号(8月20日発売)は、「香港の出口」特集。終わりの見えないデモと警察の「暴力」――「中国軍介入」以外の結末はないのか。香港版天安門事件となる可能性から、武力鎮圧となったらその後に起こること、習近平直属・武装警察部隊の正体まで。また、デモ隊は暴徒なのか英雄なのかを、デモ現場のルポから描きます。


ニューズウィーク日本版 トランプのイラン攻撃
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月10号(3月3日発売)は「トランプのイラン攻撃」特集。核・ミサイル開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。アメリカとイランの全面戦争は始まるのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米1月輸入物価、0.2%上昇 エネルギー安を資本財

ビジネス

米労働生産性、第4四半期は2.8%上昇 伸び鈍化も

ビジネス

米新規失業保険申請件数は横ばいの21.3万件、労働

ワールド

トランプ大統領、イラン次期指導者の選出に「関与する
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 2
    「え、履いてない?」モルディブ行きの飛行機で撮影された、パイロットの「まさかの姿」にSNS爆笑
  • 3
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られる」衝撃映像にネット騒然
  • 4
    「イランはどこ?」2000人のアメリカ人が指差した場…
  • 5
    対イラン攻撃に巻き込まれ、湾岸諸国が存立危機
  • 6
    「ハリポタ俳優で終わりたくない」...ハリー・メリン…
  • 7
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 8
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「旅客数が多い空港」ランキン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 9
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中