「政府は真実を隠している!」 UFOブームがアメリカに再び襲来

DO ALIENS EXIST?

2019年8月2日(金)19時15分
キース・クルーア(ジャーナリスト)

ufo181211a.jpg

宇宙人をかくまっていると噂されたネバダ州の「エリア51」近くを走る高速道路は「地球外生物ハイウェイ」と名付けられている KAREN DESJARDINーMOMENT MOBILE/GETTY IMAGES


この団体の使命は、UFO研究と関連のエンターテインメント制作、そして国防総省が無視し続けるUFOの超先端技術についての知見を深めることだ。アカデミーは2000人以上の投資家を集め、約259万ドルを調達したと主張している。

シンポジウムに登場したエリゾンドは、大勢の熱狂的聴衆に迎えられた。「時には変人扱いされるかもしれない」と、彼は語り掛けた。「でも、皆さんは常に正しかった」

警察や国防総省、ラジオ番組などにUFOの目撃情報を報告する人々は、年間数千~数万人単位でいる。一説によると、1905年以降に報告された目撃例は10万回以上という。

そのほぼ全てが雲、流星、鳥、気象観測気球などの誤認として説明できる。だがいかなる合理的な解明も、真の「UFO信者」の確信を強めるだけだ。エイリアンの証拠は大量にあるが、いわゆるディープステート(国家内国家)の秘密軍事文書(文字どおりの「Xファイル」)に隠匿されていると、彼らは信じている。

Xファイルがらみの陰謀論はUFO信者のお気に入りだ。一部の有名人もこの動きを後押ししている。例えばジョン・ポデスタ元大統領首席補佐官は数年前にツイッターで、自分はビル・クリントン大統領の首席補佐官だったのにUFO関連文書の公開を実現できなかったと嘆いた。

陰謀論者にとって、エリゾンドの登場は自分たちの主張に信頼性を与える希望の光だった。その経歴は、一流のキャリアを持つ職業軍人の典型例だ。

マイアミ出身。父親はキューバ人亡命者で、61年のピッグス湾事件(CIA主導でフィデル・カストロ政権の転覆を図り、失敗した秘密作戦)に参加していた。エリゾンドは警備員として働きながらマイアミ大学に通い、95年に卒業後、陸軍に入隊。軍のスパイとして訓練を受けた。国防総省時代に不満分子や変人めいていた兆候はなく、南米と中東で武装勢力の動向を追う秘密任務にキャリアの大部分を費やした。

10年、エリゾンドは「原因不明の航空現象」に関する報告を調査する小グループの責任者になった。その3年前にネバダ州選出のハリー・リード上院議員(当時)の要請でスタートした地味な低予算プロジェクトだった。詳細は不明だが、このプロジェクトはネバダ州の軍需関連企業ビゲロー・エアロスペースとの共同事業だったようだ。同社のオーナーで億万長者のロバート・ビゲローは熱心なUFO信者だ。

NYTの記事が出る2カ月前、エリゾンドは国防総省を退職した。本誌は17年10月4日付の辞表の写しと称するものを見せられたが、そこにはプロジェクトへの関心の低さに対する不満が書かれていた。「機密レベルでもそれ以外でも圧倒的な証拠がある。わが軍に対する戦術的脅威、わが国の安全保障への実存的脅威になる可能性があるにもかかわらず、国防総省の一部はさらなる調査に根強く反対している」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB、大手行にプライベートクレジット市場向け投融

ワールド

トランプ氏、原油・ガソリン高止まりの可能性示唆 中

ワールド

トランプ氏、イランへの限定的攻撃再開を検討 協議決

ワールド

ドル上昇、米イラン協議決裂で安全資産需要
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    新しいアメリカンドリームは「国外移住」...5人に1人が海外を希望する時代
  • 2
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相場で人気の優良株から売られる落とし穴
  • 3
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 4
    健康を守るはずのサプリが癌細胞を助ける? 思いがけ…
  • 5
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 6
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 7
    中国が恐れる「経済ドミノ」
  • 8
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 9
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 10
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 8
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中