最新記事

ブレグジット

底なしポンド安 市場はジョンソンより「合意なき離脱」にまっしぐら

2019年7月31日(水)13時03分

外国為替市場で、英国が合意のないまま欧州連合(EU)を離脱する事態に全面的に賭けるポジションの構築をためらっていた参加者が、ついに覚悟を決めたように思われる。写真はポンド硬貨。2017年9月、マンチェスターで撮影(2019年 ロイター/Phil Noble)

外国為替市場で、英国が合意のないまま欧州連合(EU)を離脱する事態に全面的に賭けるポジションの構築をためらっていた参加者が、ついに覚悟を決めたように思われる。今月に入ってポンドは大規模な売りを浴びており、デリバティブの取引状況などを踏まえるとこの先ポンド安が一服する気配はない。

問題はポンドがどこまで値下がりするかだ。過去のチャートをざっと見たところでは、29日に2017年3月以降で初めて1.23ドルを割り込んだポンド/ドルは、1.20ドルがすぐそこだ。

一部の大手銀行は、EU離脱派が勝利した2016年の国民投票後の安値1.1491ドルに達する可能性に言及。もし実現すれば、次は「プラザ合意」の少し前に当たる1985年3月に付けた過去最安値の1.0545ドルが視野に入ってくる。

これまでは英国がぎりぎりの段階でEUと円滑な離脱に向けた合意を結び、ポンドが高騰する展開も排除できないとみられたため、多かれ少なかれ様子見を続けてきた投資家が多かった。

ただ足元では、ジョンソン新首相の下で英政府が合意なき離脱への備えを積極的に進めているため、事態は変わってきている。ジョンソン氏は何があっても10月末にEUを離脱すると断言しており、ブレグジット(英のEU離脱)に関する同氏の強硬な姿勢を背景に、市場参加者はポンドの投げ売りに走った。

一連のさえない経済指標でブレグジットを巡る悪影響が浮き彫りとなり、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)がハト派姿勢を強めていることで、市場では年内に利下げがあるとの見方が高まりつつある。

これら全ての材料を受け、ポンド/ドルは5月初めから6%も下落した。だがオプションや先物の動きからすると、ポンド安局面が終わったというには程遠い。

行使価格1.20ドルの取引急増

オプションのデータによると、既に到達した1.23ドル近辺を行使価格とする取引の建玉は8億ドル前後。今から年末までの期間、1.20ドル近辺に行使価格が設定されている取引の建玉は30億ドルに上る。17日時点の建玉10億ドルから一気に膨らんだ。

ただ市場は合意なき離脱のリスクを過小評価しているかもしれない。10月末以降に期限を迎えるオプションの建玉は、当初の離脱期限だった3月29日より前に見られた規模よりもずっと小さい。

またディーラーが10月末前に期限となる3カ月物オプションを買い入れていることからは、早期の総選挙を見込んでいる可能性もうかがえる。

一方で1.20ドルよりもポンド安の水準を行使価格とする大規模なオプションの建玉は見当たらず、もっと大幅な下落は想定されていないもようだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請件数は横ばいの21.3万件、労働

ワールド

イラク海域のタンカーで小規模爆発、イランが遠隔操作

ワールド

情報BOX:米・イスラエルのイラン攻撃後の中東にお

ワールド

米ウクライナ、3者協議延期・開催地変更を検討=ゼレ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 2
    「え、履いてない?」モルディブ行きの飛行機で撮影された、パイロットの「まさかの姿」にSNS爆笑
  • 3
    「イランはどこ?」2000人のアメリカ人が指差した場所にSNS震撼「自国の場所すらわからない」
  • 4
    対イラン攻撃に巻き込まれ、湾岸諸国が存立危機
  • 5
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 6
    「ハリポタ俳優で終わりたくない」...ハリー・メリン…
  • 7
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「旅客数が多い空港」ランキン…
  • 9
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 9
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中