最新記事

韓国事情

輸出規制、韓国政府の無策を非難する韓国メディア

2019年7月9日(火)17時15分
佐々木和義

半導体やディスプレイの工場が集中する京畿道の李在明知事は、問題となっている材料の日本製品の寡占状態を調べるよう指示を出した。国産化を推進したい考えだが、現在、韓国で大きなシェアを持つ日本製品の多くは代替品がない。韓国製や中国製の材料は品質が低く、収益性が高いハイエンド品には使えない。

過度な日本依存を懸念する声は以前からあったが、ゼロからR&D(研究開発)を行うには時間がかかる上、高純度フッ素化水素の工場を建設する計画も市民団体の反対で断念した。日本企業から買う以外に方法はないのだ。

日本企業も影響は避けられないが......

日本企業も韓国向けの取引が減少すると短期的な影響は避けられないと見られている。今回の規制対象となったエッチングガスは85%、フッ化ポリイミドも22.5%を韓国向け輸出が占めている。韓国が報復で対抗してきた場合、欧米向けハイエンドテレビの液晶パネルなど韓国から輸入している品目もあり、短期的な支障が広がりかねないが、日本が韓国から輸入している製品は第3国などで代替可能な製品が多い。中長期的な損害は韓国の方がはるかに大きい。

サムスン、SKハイニックス、LGは第3国での在庫確保に乗り出した。台湾や欧州など第3国の工場で製造している日本企業の製品は今回の規制の対象外。その分、コストの増加は避けられないが、韓国企業も製造を止めるわけにはいかない。

日本酒フェスティバルは例年通りの盛り上がり

いっぽう、日本製品不買運動の影響が懸念されるなか開催された日本酒フェスティバルは多くの来場者で賑わっている。相変わらずユニクロのレジに行列ができているし、居酒屋も満席だ。韓国の多くの消費者にとっては、一部で起きている日本製品の不買運動は関係ないようだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

核保有国の軍拡で世界は新たな脅威の時代に、国際平和

ワールド

米政権、スペースXとの契約見直し トランプ・マスク

ワールド

インド機墜落事故、米当局が現地調査 遺体身元確認作

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、円安で買い優勢 前週末の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中