最新記事

ブレグジット

次期イギリス首相の最右翼ジョンソン、「問題児」でも党員の支持強固

2019年6月29日(土)08時45分

無い物ねだり

保守党の院外団体を率いるエド・コステロー氏は、大半の党員はジョンソン氏を求めており、それは彼こそが既存政治勢力の反対を押しのけてブレグジットを実現できるとみているからだと説明した。

コステロー氏は「ブレグジットはありきたりの官僚的、行政的手段では決して達成できない」と強調し、トランプ米大統領のような既成政治と対決する姿勢が必要になっていると指摘。「ボリスは欠点のある人物だし、ひどく変わり者だが、ほとんどの政治家は彼より劣っている」と述べた。

さらにコステロー氏によると、英国を第1次世界大戦の勝利に導いたデービッド・ロイドジョージや、米国で人気があったジョン・F・ケネディ大統領など私生活面で難があったものの、政治家として成功を収めた例があり、「マザー・テレサ(のような聖人君子)が首相になってくれれば素晴らしいが、そんなのは無い物ねだりだ」という。

もちろん党員の中にはハント氏に投票した方が無難だとの声もある。ハント氏支持派の女性のメアリー・ダグラスさんは、米国でトランプ氏が人格的に問題視されながらも大統領に当選したのと同じ轍を踏もうとしていると警告。「そうした過ちをわれわれが繰り返さないように私は熱心に活動している。なぜなら有権者は自分たちに見合う政治指導者を選ぶ、というのが私の確固たる考えだからだ。米国と同じ状況に置かれたくない」と力説した。

ただ多くの党員は、ジョンソン氏のようにカリスマ性があり、はっきりとブレグジット賛成を掲げる政治指導者だけが、かなり近く実施されるかもしれない総選挙で、ジェレミー・コービン氏が率いる左派の労働党首や、ナイジェル・ファラージ氏の下で先の欧州議会選で躍進したブレグジット党といった野党に勝つことができると考えている。

ある党員は「コービン氏は好みは別として、群衆を熱狂させ、ニュースの見出しを飾り、人々を引き付ける力を持っている。われわれはまさにそうしたことが可能な党首を必要としており、決選投票の残った2人のうちならジョンソン氏しかいない、というのが私の見方だ」と明言した。

(Andrew MacAskill、William James記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20240423issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月23日号(4月16日発売)は「老人極貧社会 韓国」特集。老人貧困率は先進国最悪。過酷バイトに食料配給……繫栄から取り残され困窮する高齢者は日本の未来の姿

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

利上げの可能性、物価上昇継続なら「非常に高い」=日

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32、経済状況が悪くないのに深刻さを増す背景

  • 4

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 7

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中