最新記事

人種差別 

イギリスで人種差別によるいじめが増加 肌をホワイトニングする子供も 

2019年6月3日(月)17時45分
モーゲンスタン陽子

monkeybusinessimages-iStock

<2016年に国民投票でブレグジットが決定してから、イギリスでこどもへの人種に基づくいじめや虐待が急増していることがわかった>

子供の虐待防止に取り組むイギリスの福祉団体NSPCCの調査によると、イギリスでは子供に対する、人種に基づくいじめや虐待が3年前より約20パーセント増えたことがわかった。これには、1才未満の乳児に対する差別も含まれる。

NSPCCの子供電話相談チャイルドラインには、「仲間に入れてもらうために、肌の色を白くするクリームを使ったこともある」という10歳児からの悲痛な相談も寄せられている。

仲間に入れてもらうために肌を白く

NSPCCは2015年以降、2600件以上の電話相談を受けた。12歳から15歳の子供からの相談が多く、男の子より女の子が多いという。チャイルドラインには「汚い肌の人となぜ友達でいるのか、と問われ始めたので、私の友達は私と付き合うのをやめた。私はイギリスで生まれたのに、いじめっ子たちは私に『国へ帰れ』と言う。仲間に入れるよう、メイクの前に肌を白くしようとしたこともある」という10歳児の声も寄せられている。

また、同団体が警察から得たデータによると、子供に対する人種関連のヘイトクライムは2017年から2018 年で10,571件報告されており、1日約29件だった。2015年〜16 年の8,683件、16年〜17 年の9,752件と、3年連続で増加している。

ブレグジットやテロが引き金に

これらの人種に基づくいじめや差別は、2016年に国民投票でブレグジットが決定してから急激に増え始めたという。また、2017年のロンドンやマンチェスターでのテロの直後などにも急増している。

こうした攻撃のターゲットになるのは、白人以外のいわゆるヴィジブル・マイノリティ(可視少数派)だけではない。英インディペンデント紙によると、2017年から2018年の間には、イングランドとウェールズにて宗教に基づくヘイトクライムが40%も増加した。最も多く被害を受けたのはイスラム教徒だが、その次に多くターゲットとされたグループはユダヤ教徒だった。反ユダヤ主義、アンチセミティズムは昨今、欧州本土でも大きな問題となっている

子供が危険な違法商品に手をだす結果に

こうした子供たちのほとんどが、親や身近な大人に事態を打ち明けられずにいる。ほとんどの移民の親にとって最大の願いは、子供たちが現地社会に「フィット・イン」(適応する、溶け込む)することだ。そんな親たちの願いを知っているからこそ、子供たちは親に心配をかけないように、何事もないそぶりを続ける。一方で、学校の教師に相談する場合もあるが、いじめが止むのはほんの一時だけで、しばらくするとまた同じことの繰り返しだという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ガザ南部ラファ検問所、2日に再開とイスラエル当局

ビジネス

米フォード、EVで中国シャオミと提携協議との報道否

ワールド

ロシア安保会議書記、台湾問題で中国の立場に支持表明

ワールド

インド26年度予算案、製造業てこ入れ最優先 公共投
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 2
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」から生まれる
  • 3
    世界初、太陽光だけで走る完全自己充電バイク...イタリア建築家が生んだ次世代モビリティ「ソラリス」
  • 4
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 5
    中国がちらつかせる「琉球カード」の真意
  • 6
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    【銘柄】「大戸屋」「木曽路」も株価が上がる...外食…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中