最新記事

エンターテインメント

「凋落」カンヌが目指すハリウッド頼みの復活劇

CANNES FILM FESTIVAL

2019年5月24日(金)19時00分
ニューズウィーク日本版編集部

タランティーノ最新作に主演するレオナルド・ディカプリオ(写真右)とブラッド・ピット COURTESY FESTIVAL DE CANNES

<ネットフリックスとの軋轢で最近、影が薄いカンヌ映画祭だが、今年はハリウッド作品の誘致に成功して久しぶりに大物スターも大勢登場>

今年もカンヌ国際映画祭の季節がやって来た。5月14~25日まで、初夏のフランス南部にあるこの街は世界中の映画ファンでにぎわう。

今年の見どころの1つは、映画界以外のスターたちだ。世界的ミュージシャンのエルトン・ジョンや、アルゼンチンサッカーの英雄ディエゴ・マラドーナといった、誰もが知るレジェンドの半生を描いた作品が上映される。また、世界的ロックバンド「U2」のボーカル、ボノも会場に現れる予定だ。ボノは、エイズ治療を目的にアメリカで最初に設立されたサンフランシスコ総合病院をテーマにしたドキュメンタリー映画『5B』の上演に立ち合い宣伝に一役買う。

ただ、カンヌにとって最大のニュースはハリウッド映画の「復活」かもしれない。

実はここ数年、カンヌ映画祭においてハリウッド映画の影は薄かった。世界の映画市場におけるカンヌの重要性と存在感が低下していることに加え、ハリウッドとカンヌに大きな軋轢をもたらしたのがストリーミング大手ネットフリックスとカンヌの対立だ。カンヌは18年、劇場公開しない映画をコンペティション部門に参加させないルールを導入。そのためネットフリックスはオリジナルのハリウッド作品をカンヌに出品しなかった(フランスでは劇場公開から3年間はネット配信できない法律があるためネットフリックスはオリジナル作品のフランスでの劇場公開も躊躇している)。

ネットフリックスとの軋轢は解消されておらず、今年も出品されていない。それでもカンヌはその他のハリウッド作品の誘致に成功し、久しぶりに大物スターが大勢登場する。

タランティーノ最新作は米映画界へのオマージュ

特筆すべきは、御年72歳のシルベスター・スタローンだ。代表作品『ランボー』の最新作『ランボーV ラスト・ブラッド』の一部が特別上映されるとみられている。往年のファンでなくとも高齢のスタローンがスクリーンでどれほど躍動するのか気になるところ。

加えて注目を集めているのが、名監督クエンティン・タランティーノの最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。4年ぶりとなる新作は、60年代のロサンゼルスを舞台にハリウッド黄金期の最後を描く、アメリカ映画界へのオマージュとされる。

主演はレオナルド・ディカプリオとブラッド・ピット(冒頭写真)。既に落ち目の2人という批判もあるが、カンヌにとってはうれしいビッグネームに違いない。脇を固める円熟のアル・パチーノが登場すればイベントはさらに盛り上がるだろう。

昨年は米芸能専門誌ハリウッド・リポーターから「パパラッチには気の毒だがスターが全くいない」と酷評されたカンヌ。名誉挽回のために頼れるのは、やっぱりハリウッドらしい。

<本誌2019年5月28日号掲載>

20190528cover-200.jpg
※5月28日号(5月21日発売)は「ニュースを読み解く哲学超入門」特集。フーコー×監視社会、アーレント×SNS、ヘーゲル×米中対立、J.S.ミル×移民――。AIもビッグデータも解答不能な難問を、あの哲学者ならこう考える。内田樹、萱野稔人、仲正昌樹、清水真木といった気鋭の専門家が執筆。『武器になる哲学』著者、山口周によるブックガイド「ビジネスに効く新『知の古典』」も収録した。


ニューズウィーク日本版 AI兵士の新しい戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年1月13号(1月6日発売)は「AI兵士の新しい戦争」特集。ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EU、グリーンランド支持 国際法違反容認せず=コス

ワールド

トランプ氏、グリーンランド購入巡り活発な協議 NA

ワールド

ゼレンスキー氏、トランプ氏との会談を希望 「安全の

ワールド

米、ベネズエラ安定化・復興へ3段階計画 国務長官が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 5
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが…
  • 6
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 7
    公開されたエプスタイン疑惑の写真に「元大統領」が…
  • 8
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び…
  • 9
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 10
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 10
    感じのいい人が「寒いですね」にチョイ足ししている…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中