最新記事

南シナ海

中国が南シナ海で新たに「人工島の街」建設を計画

Beijing Pushes Ahead With New South China Sea Base

2019年3月19日(火)14時38分
ジェイソン・レモン

その前の週にも、米軍の爆撃機2機が南シナ海の上空を飛行したとの報道があった。マイク・ポンペオ国務長官は「国際海域での違法な島の造成」を行っているとして、中国政府を強く非難していた。

2018年11月には、マイク・ペンス副大統領がシンガポールで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議の場で、アメリカは中国の領有権には反対すると改めて確認。ニュース総合誌のザ・ウィークによれば、ペンスは「南シナ海はひとつの国に属するものではなく、アメリカは今後も国際法が認め、我が国の利益にとって必要である限り、どこでも航行と飛行を行っていく」と語った。

中国が領有権を主張する海域については、マレーシア、台湾、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、フィリピンが領有権を主張している。南シナ海は世界で最も船舶の通航が多い航路のひとつで、同海域を通じて貿易を行っている企業や国にとって、同海域の安定と開放が維持されることがきわめて重要であることを意味している。

アメリカから激しい反応も

中国空軍の戴旭大佐は2018年12月、中国は自国が領有権を主張する海域に侵入したアメリカの艦船に対して、武力で対抗すべきだと発言した。共産党機関紙人民日報系のタブロイド紙である環球時報によれば、戴旭は「もしもアメリカの艦船が再び中国の領海に侵入した場合には、2隻の軍艦を派遣すべきだ。1隻はアメリカの艦船を止めるため、もう1隻は体当たりするためだ」と語った。「我々は自国の領海でアメリカの艦船が騒ぎを起こすのを許さない」

北京にある中国人民大学の時殷弘教授(米中関係が専門)はサウスチャイナ・モーニングポストに対して、三沙市の計画は、アメリカ政府による激しい反応を招く可能性があると指摘した。

「もしも大規模な計画が急速に実行されることになれば――私はそうなるとは思わないが――アメリカの戦略的な対応は劇的なものになり、米中の対立はエスカレートするだろう」と彼は語った。そうなれば、トランプ政権との間で続いている貿易協議をはじめ「中国が国内外で主な優先事項としている数々の問題が脅かされることになる」と指摘した。

(翻訳:森美歩)

※3月26日号(3月19日発売)は「5Gの世界」特集。情報量1000倍、速度は100倍――。新移動通信システム5Gがもたらす「第4次産業革命」の衝撃。経済・暮らし・医療・交通はこう変わる! ネット利用が快適になるどころではない5Gの潜在力と、それにより激変する世界の未来像を、山田敏弘氏(国際ジャーナリスト、MIT元安全保障フェロー)が描き出す。他に、米中5G戦争の行く末、ファーウェイ追放で得をする企業、産業界の課題・現状など。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ダライ・ラマ「130歳以上生きたい」、90歳誕生日

ワールド

米テキサス州洪水の死者43人に、子ども15人犠牲 

ワールド

マスク氏、「アメリカ党」結成と投稿 中間選挙にらみ

ビジネス

アングル:プラダ「炎上」が商機に、インドの伝統的サ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 8
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 9
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 10
    「登頂しない登山」の3つの魅力──この夏、静かな山道…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中