アングル:メローニ伊首相の3年間、成長より安定重視で地位固め

政権発足から3年。イタリアのメローニ首相(写真)は同国政界の舵取り役として地位を固めた。2022年9月、ローマで撮影(2025年 ロイター/Guglielmo Mangiapane)
Crispian Balmer
[ローマ 21日 ロイター] - 政権発足から3年。イタリアのメローニ首相は同国政界の舵取り役として地位を固めた。多くの欧州指導者を動揺させた経済面の逆風や国際的な不確実性に抗っての成果だ。
不安定が常だったイタリアで、メローニ氏の着実な指導力は市場から称賛されている。しかしアナリストは、同氏が地位を確固たるものにしたのは、この国が切実に必要とする痛みを伴う改革を避け、現状維持を良しとした結果だと言う。
最近の世論調査によると、メローニ氏が率いる政党「イタリアの同胞(FDI)」および、同党を含む保守連立政権は、2022年の選挙で勝利した時点よりも支持率が上がっている。現政権としては珍しい。
メローニ氏自身の支持率は42%前後で推移しており、ドイツのメルツ首相やフランスのマクロン大統領など、多くの欧州政治家らを大きく上回っている。
アナリストはこの持続的な人気について、彼女の能力と統制力に対する幅広い認識を反映していると説明。こうした認識は、国際舞台での強い存在感と、公共支出への慎重姿勢によって投資家を安心させたことに裏打ちされたものだと話している。
ロンドンの政治リスクコンサルティング会社、テネオのウォルファンゴ・ピッコリ氏は「予算制約には対処したが、変革的な構造改革はない。議会多数と弱い野党にもかかわらず、野心を欠く」と述べ、改革を避ける姿勢に言及した。
<リスク回避的な統治>
外から見ると、メローニ氏のイタリアは激動の欧州の中にあって、安定して栄える島のように映る。
先月、イタリアの10年物国債利回りは初めてフランス国債と同水準まで低下した。22年に国内総生産(GDP)比8.1%だった財政赤字が、今年は3.0%に急減するとの見通しを反映した動きだ。
格付け会社フィッチはイタリアの財政健全性を評価し、同国の信用格付けを引き上げた。対照的に、フランスは25年に財政赤字の対GDP比率が5.4%になると予想されており、格付けを引き下げられた。
もっとも、メローニ氏のリスク回避的な統治は財政赤字を抑える効果こそあれ、長年の官僚主義、高いエネルギーコスト、人口減少、持続的な頭脳流出、高税率、低賃金に悩まされてきた硬直化した経済を解放することにはほとんど寄与していない。
代わりにメローニ氏が行ったのは、国家のアイデンティティーと伝統的な家族の価値観を擁護することで、右派の支持基盤を固めることだった。また法と秩序に重点を置き、司法制度の刷新と警察権限の強化を図ろうとしている。
こうした政策は経済にほとんど貢献しておらず、イタリア国家統計局(ISTAT)によると、同国の鉱工業生産は過去3年間で約7.5%減少した。
国際通貨基金(IMF)の予測では、イタリアのGDP成長率は25年にわずか0.5%、26年には0.8%にとどまる見込みだ。これはユーロ圏全体の1.2%、1.1%と比べて低い。
<経済を支えるEUの基金>
エコノミストによると、コロナ禍に対応した欧州連合(EU)の復興基金による支援がなければ、イタリアは景気後退に陥っていた可能性がある。
1940億ユーロ(約33兆9360億円)の補助金と融資で構成される基金は、メローニ政権の命綱だ。
元産業担当閣僚で中道政党アツィオーネ党党首のカルロ・カレンダ氏は「わが国の成長はNRRP(復興基金)あってこそだ。これ無しでは景気後退に陥っていただろう」と指摘。「問題はNRRP資金の使途だ。スペインが企業支援や投資誘致に充てたのに対し、わが国は自治体に無差別に配分し、大半が全く無意味な事業に向かった」と話した。
この違いを裏付けるように、IMFはスペインの成長率を今年2.9%、来年2.0%と、イタリアより大幅に高く予測している。政府はEU資金の浪費を否定し、交通網の改善など戦略的プロジェクトに多額が投入され、その効果は数年後に実感されるだろうと主張している。
<変化に抵抗する有権者層>
メローニ氏は就任以来、欧州問題や対米外交における重要なプレーヤーとしての地位を確立し、フォンデアライエン欧州委員長と協力して北アフリカからの移民流入を抑制し、トランプ米大統領およびバイデン前米大統領と緊密な関係を築いてきた。
世論調査専門家ロレンツォ・プレリアスコ氏は、メローニ氏の着実な外交と、国内の政治的ドラマを嫌う姿勢が、安定した支持率の維持につながっていると述べた。
対抗馬の不在も大きい。中道左派の野党陣営が22年の選挙敗北後も深く分裂したままで、今のところメローニ氏に挑戦できる指導者はいない。気性が激しく、飾り気のない言葉で話すメローニ氏は、政治エリートに警戒心を持つ有権者の共感を呼んでいる。
「彼女はイタリア人の過半数から愛されているわけではないが、現時点で明確に彼女に代わり得る人物は存在しない」とプレリアスコ氏は述べ、「彼女はまた、何かを改革しようとすれば必然的に誰かの不満を招くことを理解している。おそらくそれが理由で、特に国内レベルではあまり多くのことを行っていないのだろう」と続けた。
イタリアは人口の4分の1が65歳以上と、世界で最も高齢化が進んだ国の1つであり、変化に抵抗するのは無理もないかもしれない。
しかし、メローニ氏が最初の3年間を比較的容易に乗り切れたからといって、27年に予定される次期総選挙までの残り2年間が順風満帆だとは限らない。
EUからの資金は26年に枯渇する見通しで、米国の関税は輸出主導型経済のイタリアにさらなる重圧となるだろう。
プレリアスコ氏は「私の基本シナリオでは、メローニ氏は任期をまっとうし、次の選挙の勝利候補となるだろう。だがここはイタリアだ。ちょっとしたことで風向きは変わる」と語った。
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