最新記事

航空機

737MAX墜落、運航停止措置を「歓迎」する航空会社も その理由は?

2019年3月18日(月)12時12分

エチオピア航空が運航する米ボーイングの新小型旅客機「737MAX8」の墜落事故を受け、複数の国が同型機の運航を停止するなど、世界の航空業界に衝撃が走っている。写真は737MAX。ワシントン州で2015年12月撮影(2019年 ロイター/Matt Mills McKnight)

エチオピア航空が運航する米ボーイングの新小型旅客機「737MAX8」の墜落事故を受け、複数の国が同型機の運航を停止するなど、世界の航空業界に衝撃が走っている。

多くの航空会社が他の機種でフライトスケジュールを維持しようとする一方、経済的苦境にある一部の航空会社にとっては「恵みの停止」となるかもしれない。

ボーイングで最も売れているジェット機の最新型である「737MAX8」は、2017年に就航したばかりであり、他の定番となった主力機と比べ、その数はまだ多くない。

「ボーイング737─800のような機種が運航停止となれば、その影響は甚大だ。だが(737)MAXの場合、世界で運航している数は400機にも満たない」と、ある航空アナリストは指摘。大半の航空会社は「その穴を埋める」ことが可能だと付け加えた。

10日に発生したエチオピア航空機墜落事故では157人が犠牲となった。189人が命を落としたインドネシア格安航空会社(LCC)ライオン航空の同型機による墜落事故が昨年10月に起きてから半年もたっていない。

フライトグローバルによると、今週運航が停止されるまで、中国をはじめ各国で371機の737MAX機が運航していた。ロイターが試算したところ、737MAX機の約3分の2が現在運航を停止している。

前モデルの737ネクストジェネレーション(NG)シリーズは6000機以上運航されている。これに比べ、今回は各航空会社は少なくとも一部のフライトを他のジェット機に変更して運航することが可能だ。

「運航停止による影響は、世界で運航中の同型機の数が比較的少ないため当面は限定的になる」と、航空コンサルタントのジョン・ストリックランド氏はロイターに語った。

世界経済が減速する中、航空産業の成長もピークを迎えているのではないかとの懸念が見え始めたこの時期、各航空会社にとって運航能力の削減は必ずしも悪いことではない。

「今はオフシーズンであり、削減しやすい状況にある。一部の航空会社は過剰な運航能力の方を問題視している」と、西側のある航空当局者は語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国当局、国有企業にチベットへの産業支援強化求める

ワールド

トランプ氏に解任権限なし、辞任するつもりはない=ク

ワールド

ラセンウジバエのヒトへの寄生、米で初確認 情報開示

ビジネス

午前の日経平均は反落、FRB理事解任発表後の円高を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 2
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」の正体...医師が回答した「人獣共通感染症」とは
  • 3
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密着させ...」 女性客が投稿した写真に批判殺到
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 6
    顔面が「異様な突起」に覆われたリス...「触手の生え…
  • 7
    アメリカの農地に「中国のソーラーパネルは要らない…
  • 8
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 6
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 7
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 8
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 9
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 10
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中