最新記事

事件

許せない! オランウータン母子襲われ子は栄養失調死、親は銃弾74発受け重傷

2019年3月14日(木)22時40分
大塚智彦(PanAsiaNews)

保護された母オランウータンの身体には多数の弾丸が残っていた Sutopo Purwo Nugroho via Twitter

<かつて密林を自由に移動していた「森の人」。開発で住むところを追われ、絶滅の危機で保護が叫ばれているのに容赦なく命を狙われる──>

インドネシア・スマトラ島最北部のアチェ州にある自然保護区域でオランウータンの親子が保護された。このうち子供の方は栄養失調で死亡、母親も検査の結果、体内に74発もの空気銃の弾が撃ちこまれ、また複数の刃物による傷を負っていることがわかった。英字紙「ジャカルタ・ポスト」が伝えた。

北スマトラ州の州都メダンにある環境保護団体「持続可能なエコシステム基金」の関係者によると、このオランウータン親子はアチェ州内の保護区域付近のプランテーションで働く労働者に襲撃され、3日間に渡って逃げ回ったという。

3月10日に「ひどい怪我をしたオランウータンの親子がいる」という通報がアチェ州スルタン・ダウラット郡のブンガ・タンジュン村の住民からあり、同州自然保護庁の担当者が駆けつけて「スマトラ・オランウータン」の親子を保護したという。

襲撃はその2日前にあったとみられ、推定年齢30歳の母親は子を守りながら労働者から逃れるためエサをとる時間もなく、また負傷していたことから体力も衰えながら、逃げて来たとみられている。

このため生後一カ月とみられる子供は逃げる最中に食べたり水分をとったりできなかったため、保護直後に死亡したという。死因は栄養失調と脱水症状とみられており、その亡骸は保護団体関係者によって丁寧に埋葬されたという。

新種発見され3種、いずれも絶滅の危機

インドネシア語で「森の人」を意味するオランウータン。人に最も近い大型類人猿とされ、インドネシアのスマトラ島北部とカリマンタン島(マレーシア名ボルネオ島)のインドネシア領とマレーシア領などにだけ生息し、スマトラ島に約9200頭、カリマンタン島に約1万2000〜1万5000頭(うち約80%がインドネシア領内に生息)がいると推定される絶滅の危機に瀕した動物だ。

これまで「スマトラ・オランウータン」と「ボルネオ・オランウータン」の2種が確認されていたが、2017年11月にアチェ州の南側にある北スマトラ州タパヌリ地方で、遺伝子(DNA)や頭蓋骨の骨格、歯などがこれまで確認されている2種と異なるオランウータンがスイス、英国、インドネシアなどの国際調査チームによって発見、確認されたことが学会誌で発表された。

この88年ぶりとなる新種のオランウータン発見は国際的なニュースとなり、発見された場所の名前にちなみ「タパヌリ・オランウータン」と名付けられた。

ニュース速報

ビジネス

航空各社が中国便の運航見直し、新型肺炎で運休相次ぐ

ビジネス

欧州経済、リスクが現実化しなければ予想上回る可能性

ビジネス

トヨタ、2月9日まで中国工場の稼働停止 新型肺炎拡

ビジネス

新型ウイルス、世界のサプライチェーンに影響も=独ボ

MAGAZINE

特集:私たちが日本の●●を好きな理由【中国人編】

2020-2・ 4号(1/28発売)

日本と縁を育んできた中国人一人一人の物語── 本音の「日本論」から日中関係を見つめ直す

人気ランキング

  • 1

    「拷問死したアメリカ人学生」がはばむ文在寅の五輪誘致

  • 2

    国境を越えた柴犬人気、しかし問題も

  • 3

    「空白の8時間」は何を意味するのか?──習近平の保身が招くパンデミック

  • 4

    中国が新型コロナウイルスに敗北する恐怖

  • 5

    新型コロナウイルスについて医学的にわかっていること

  • 6

    「中国人」とひとくくりにする人たちへ──日本との縁…

  • 7

    習近平「新型肺炎対策」の責任逃れと権謀術数

  • 8

    新型コロナウイルスでも台湾をいじめる中国

  • 9

    一党支配揺るがすか? 「武漢市長の会見」に中国庶民…

  • 10

    日本製品の次は中国人観光客ボイコット? 韓国、中国…

  • 1

    韓国で強まる、日本の放射能汚染への懸念

  • 2

    世界最古級の「千年企業」が幾つも......日本の老舗の強さの根源は同族経営にあり

  • 3

    文在寅の2032年夏季五輪(南北共同招致)計画に、アメリカから大批判「現実からズレすぎ」

  • 4

    国境を越えた柴犬人気、しかし問題も

  • 5

    「拷問死したアメリカ人学生」がはばむ文在寅の五輪…

  • 6

    日本の高齢者のITスキルが、世界の中でも著しく低い…

  • 7

    教育は成功、でも子育ては失敗! 親の仕事は教育で…

  • 8

    ゴーン裁判、レバノンで継続の可能性も 日本側と40日…

  • 9

    「王室離脱」騒動の只中にメーガン妃の「ダメ父」が…

  • 10

    ゴーン逃亡のレバノンが無政府状態に、銀行も襲撃さ…

  • 1

    ゴーン逃亡のレバノンが無政府状態に、銀行も襲撃される

  • 2

    日本不買運動で韓国人が改めて思い知らされること

  • 3

    複数の海外メディアが行くべき旅行先として日本をセレクト、その都市は......

  • 4

    トランプが52カ所攻撃するなら、イランは300カ所攻撃…

  • 5

    イラン軍司令官を殺しておいて本当の理由を説明しよ…

  • 6

    韓国で強まる、日本の放射能汚染への懸念

  • 7

    英王室に爆弾を放り込んだスーパーセレブ活動家メー…

  • 8

    訪韓日本人数が訪日韓国人数を上回った ......その内…

  • 9

    最恐テロリストのソレイマニを「イランの英雄」と報…

  • 10

    ヒトの老化は、34歳、60歳、78歳で急激に進むことが…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
ニューズウィーク日本版試写会ご招待
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2020年1月
  • 2019年12月
  • 2019年11月
  • 2019年10月
  • 2019年9月
  • 2019年8月