最新記事

自動車

米国、高級ピックアップトラックが好調 ビッグスリー雇用の命綱に

2019年2月11日(月)14時09分

フリント工場では1000人の新規採用を予定している。メアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)によるリストラ計画の一環としてGMが閉鎖対象としている工場からの配置転換を希望する従業員は1500人いるが、その半分以上を吸収できる計算だ。

ペレズ工場長は「毎週50─100人、新しい従業員が入ってくる」と言う。

従業員らは先週、総額15億ドルの投資プロジェクトの一環として、新型の大型ピックアップの生産に向けて、フリント工場の設備更新業務の仕上げに追われていた。

新たな組立ラインのハイライトは、2階建てほどの高さのあるファナック製ロボットが、ピックアップトラック用の車室(キャビン)と荷台(ベッド)を別々のパレットから持ち上げ、向かい合わせのアーク溶接機へと送り込み、その後、ゆっくりとフレーム部分に下ろして、さまざまなロボットによるボルト接合が行われる工程だ。

ビッグスリーの幹部は、大型ピックアップの市場を守っているのは、「モート(堀)」と呼ばれる輸入トラックに対する25%の関税、そして何十年にもわたるエンジニアリングの経験だと胸を張る。

それによって、3万ポンド(13.6トン)もあるトレイラーをけん引でき、大型高級セダンに匹敵する乗り心地、そしてBMWやレクサスといった高級車と同等の安全性やネット接続機能を備えたピックアップを生産してきたのだ。

ケアリー・ウィリアムズさんは、ディケーターで自動車販売店を経営している。毎月235台ほど売れる新車のうち、4分の3はピックアップだ。その半分近くは、7万ドル以上もするハイエンド寄りの高級仕様車である。

ウィリアムズさんは、ラムの新型ピックアップがGMのライバルになることは心配していない、と言う。

「ピックアップはわれわれの生活を支える柱であり、(GMの)ニューモデルは、顧客の求めるあらゆる機能を備えることで、それを証明してみせる」

空調機器設置・修理業の2代目オーナーであるマーク・アリーさん(37)は、2019年型「シルバラード・ハイ・カントリー」を6万5000ドルで購入した。リアシート用の独立したエアコン、360度撮影可能なカメラ、電話やテキストメッセージの送受信が可能なハンズフリー機能がお気に入りだ。

「GMはテクノロジーの力で2019年型ピックアップを本当に進化させた」とアリーさんは言う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、イラン・イスラエル仲介用意 ウラン保管も=

ワールド

イラン核施設、新たな被害なし IAEA事務局長が報

ビジネス

インド貿易赤字、5月は縮小 輸入が減少

ワールド

イラン、NPT脱退法案を国会で準備中 決定はまだ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 3
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中