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タイ王女の首相選出馬に国王が反対声明 王室内の対立へ発展か

2019年2月9日(土)12時40分
大塚智彦(PanAsiaNews)

国王の事前了解なしで立候補決断か

こうした中、当のウボンラット王女はフォロワーが10万人というネット上の写真共有アプリケーション「インスタグラム」のアカウントで1972年に米国人との結婚で王室籍を離脱しことを挙げ「私はもはや王族の一員ではなく、自由な一般人である。政党の首相候補となることを自ら決める権利が一般のタイ人と同様に私にはある」と主張、自らの意思で立候補を受け入れたことを強調。そのうえで「私の立候補を受け入れてくれた国民の愛と支持に感謝する。タイに繁栄をもたらすことを約束します」と述べている。

こうした王女の主張や国王の声明からみると、ウボンラット王女の政界入りの決断は事前に国王の了解を得たり通知をしたりしたものではなく、突然の行動だったものとみられている。

8日の届け出の数日前から噂が流れた事実はあったようだが、いずれも前例がなくことが王室に関わることなので「フェイクニュース」として受け止められていたという。

国王の「政界入り反対声明」は王室内部の意見の相違を浮き彫りにしたといえるが、国王が主張する「王室籍を離脱したとはいえ、王族であることに変わりはない」との反対根拠に対しウボンラット王女は「王室籍を離脱しており今の私は一般人である」と自らの地位を表明していることが対立点となっている。

タイ各紙の報道によればウボンラット王女は米国人との結婚で確かに一度は王室籍を離脱したものの、1998年に離婚してタイに帰国後は父親であるプミポン国王の外戚として王室に準じる形の待遇を受けているという。このため100%王室籍でもなく、100%一般人でもないという微妙な立場と境遇がウボンラット王女の現状という。

王女はAKB48のタイバージョンの「恋のフォーチュンクッキー」をカバーしたり、テレビ番組「プリンセスとのトーク」というトーク番組に出演したりと芸能活動も続けており、親しみのある王女として国民の間の人気は高い。

2008年には映画女優デビューも果たし、2010年の映画「マイ・ベスト・ボディガード」は王女主演の映画として評判を呼んだ。

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