最新記事

袋小路の英国:EU離脱3つのシナリオ

英議会、政府のブレグジットめぐる協定案修正方針を否決 メイ首相の対EU再交渉は無効に?

2019年2月15日(金)09時06分

英議会はメイ首相(写真)が先にまとめた欧州連合(EU)離脱協定案の修正を求める政府方針に賛同するか採決を行い、反対多数で否決した(2019年 ロイター/SIMON DAWSON)

英議会は14日、メイ首相が先にまとめた欧州連合(EU)離脱協定案の修正を求める政府方針に賛同するか採決を行い、反対多数で否決した。

メイ首相はEUに対し、協定案でEU側の譲歩が得られれば英議会で法案を可決させると表明しており、今回の否決はメイ首相の交渉力を弱めることになる。

採決結果は賛成258、反対303だった。首相が合意なき離脱に対する態度を軟化させると懸念した与党保守党の多数の離脱推進派が投票を棄権した。

今回の採決は象徴的なもので、メイ首相は協定案修正を目指してEUとの協議を続けることができる。ただ、協定案に対する議会の支持を得る上で離脱推進派が大きなハードルになることが浮き彫りになった。

メイ氏の報道官は、協定案修正を目指すことが依然として議会の望みだと首相は信じているとし、「政府は3月29日の離脱に向けてEU側との取り組みを続ける」と述べた。

保守党内の離脱推進派で構成する「ユーロピアン・リサーチ・グループ(ERG)」は採決に先立ち、メイ首相が最終的に合意なき離脱を排除する可能性があるとのERGの懸念が払しょくされなければ、採決で首相を支持しないとの考えを示していた。

ERGは、合意なき離脱を排除すれば英国の交渉力が弱まるだけでなく、明確な離脱を実現する可能性も低下するとみている。

一方、一部の保守党議員や多くの野党議員は、メイ首相が離脱日まで時間が限られた状況に英国を追い込むことで議会に首相の離脱案支持か合意なき離脱の選択を迫ろうとしていると非難している。

野党労働党のマクガバン議員は、EU離脱の時計を止めるべきだとし、「普通ならこれは総選挙を行うべき状況だ。首相が下院の過半数を容易にまとめられないのは明白だ」と語った。

[ロンドン 14日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

◇ ◇ ◇

※ニューズウィーク日本版2019年2月12日号(2月5日発売)は「袋小路の英国:EU離脱3つのシナリオ」特集。なぜもめている? 結局どうなる? 分かりにくさばかりが増すブレグジットを超解説。暗雲漂うブレグジットの3つのシナリオとは? 焦点となっている「バックストップ」とは何か。交渉の行く末はどうなるのか。

ニューズウィーク日本版 総力特集:ベネズエラ攻撃
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年1月20号(1月14日発売)は「総力特集:ベネズエラ攻撃」特集。深夜の精密攻撃で反撃を無力化しマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ大統領の本当の狙いは?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミネソタ州に兵士1500人派遣も、国防総省が準備命

ワールド

EUとメルコスルがFTAに署名、25年間にわたる交

ワールド

トランプ氏、各国に10億ドル拠出要求 新国際機関構

ワールド

米政権、ベネズエラ内相と接触 マドゥロ氏拘束前から
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向」語る中、途方に暮れる個人旅行者たち
  • 2
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 5
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 6
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」…
  • 7
    鉛筆やフォークを持てない、1人でトイレにも行けない…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 10
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 8
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 9
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 10
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中