最新記事

追悼

故ブッシュ元大統領の介助犬サリーの任務

Bush's Service Dog Sully To Help Wounded Veterans

2018年12月4日(火)16時30分
ドニカ・ファイファー

自宅を出る主人の棺を家族と共に見送るサリー David J. Phillip/REUTERS

<亡くなったジョージ・H・W・ブッシュ元大統領の棺に寄り添う姿が悲しみを誘った介助犬サリーのこれまでと今後>

ジョージ・H・W・ブッシュ第41代米大統領が11月30日、惜しまれながらこの世を去った。ブッシュ家の広報担当者ジム・マグラスが3日後、ブッシュの棺の傍らに横たわる失意の介助犬サリー(Sully)の写真をツイートすると、悲しみはさらに広がった。「任務完了」というマグラスの言葉を見て、サリーの行く末を案じる声も多く寄せられた。

答えは、ブッシュ家があるテキサス州ヒューストンのテレビ局KTRKの報道で明らかになった。サリーは今後も介助犬として、負傷した退役軍人のために働き続けるのだという。

サリー・H・W・ブッシュは、ニューヨーク州スミスタウンで障害を持つ退役軍人や救急隊員向けに介助犬を派遣する「アメリカズ・ヴェット・ドッグズ(America's VetDogs)」で訓練を受け、派遣された。クリスマス休暇まではそこに戻って過ごし、その後はウォルター・リード米軍医療センターでファシリティドッグ(患者に寄り添って心を癒すなど治療を支援する犬)として活動する予定だ。


KTRKの報道によると、ウォルター・リード米軍医療センターでサリーは、他のファシリティドッグ「ディロン軍曹」と「トゥルーマン軍曹」の同僚になるという。

サリーは2018年6月に、最愛の妻バーバラを失ったブッシュのもとに派遣された。ブッシュは、ツイッターにサリーの写真を投稿し、訓練したアメリカズ・ヴェット・ドッグズに対して感謝を述べていた。

その写真には、ブッシュ自身とサリーのほかに、第42代米大統領ビル・クリントンも写っている。

マグラスは6月、CNNに対し、「サリーはほぼ何でもできる。唯一できないのはマティーニを作ることだが、心配は無用だ。サリーは、マティーニを作る人を連れてこれるからね!」と述べていた。

サリーは、2ページ分にもわたるさまざまな指示をこなせるよう訓練を受けており、電話にも出られる。

サリーは、2歳になるころブッシュ家に来た。アメリカズ・ヴェット・ドッグズは声明で、「ブッシュ元大統領の日常生活を助け、そばでサポートできる犬として特に選ばれたのがサリーだった」と述べている。

サリーという名前は、2009年にニューヨークのハドソン川に旅客機を着水させて人命を救った機長チェスリー・サレンバーガーのニックネーム「サリー」にちなんでいる。

View this post on Instagram

Always an honor to be with my best friend.

Sully H.W. Bushさん(@sullyhwbush)がシェアした投稿 -

サリーも幸せだった


(翻訳:ガリレオ)

ニューズウィーク日本版 ガザの叫びを聞け
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月2日号(11月26日発売)は「ガザの叫びを聞け」特集。「天井なき監獄」を生きる若者たちがつづった10年の記録[PLUS]強硬中国のトリセツ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ホワイトハウス付近で銃撃、州兵2人重体 容疑者は

ワールド

英、障害者向け自動車リース支援制度改革へ 補助金を

ビジネス

米経済下振れリスク後退は利上げ再開を意味、政策調整

ワールド

イスラエル、ヨルダン川西岸で新たな軍事作戦 過激派
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 8
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 9
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中