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Huawei総裁はなぜ100人リストから排除されたのか?

2018年12月31日(月)15時30分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

大陸では、あまり正々堂々と発表される情報ではないが、なにやら「政権を脅かす」要素を、それとなく感じ取らせる報道だ。当然、100人リストからは落とすだろう。

中国政府高官に聞いてみた

中国大陸のネットでは「習近平は華為(Huawei)モデルが気に入らないのか?」といった書き込みも一部では見られる。

そこで中国政府高官にHuaweiをどう思っているのかを聞いてみた。

「そりゃあ、国企(グォーチー。国有企業)と仲が悪いので、困っていないわけではないが、しかし競争するのはいいことだ。互いに相手よりも成長しようとして、結果的には中国を発展させてくれている」

「でも、今般表彰された100人のリストに入っていなかったではないですか」

「それは確かにそうだ。しかし高い税金を国に収めてくれているので、国家にとってはありがたい存在だという一面もある。国が投資している国有企業は効率が悪くて、投資していない民営企業の方が効率が良いというのは、中国政府にとっても参考にならないわけではない。しばらくは華為モデルの運営方式を観察するしかないだろう。なんと言っても十五大(第15回党大会)で合法化されたのだから......」

Huaweiモデルを撤回させるには江沢民の政権スローガンである「三つの代表」を覆さなければならないし(因果関係は長くなるので省略)、今となっては「中国製造2025」を支えてくれているトップランナーなので、中国政府としては応援するしかない。ただ、改革開放の模範的モデルかというと、必ずしもそうではないので、100人リストからは削除したということになろうか。

それでも対外的にはHuaweiを守っている様子を見せなければならない。

これは、習近平が抱える痛い盲点でもある。

endo2025.jpg[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』(2018年12月22日出版)、『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』(中英文版も)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など多数。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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