最新記事

米中貿易摩擦

アメリカの産業スパイ事件、9割に中国が関与

China Involved in 90 Percent of Espionage: DOJ

2018年12月13日(木)17時00分
クリスティナ・マザ

ドナルド・トランプ米政権は、中国との通商摩擦の中でもとりわけ知的財産の窃盗を問題視して貿易戦争を仕掛けてきた。マイク・ペンス米副大統領は10月4日に保守系シンクタンク、ハドソン研究所で演説した際、中国政府は「あらゆる手段を使ってアメリカの知的財産を取得するよう官僚や企業に命じている」と批判した。

ただし今後の米中交渉でその問題がどう対処されるかは不透明だ。一部の政策アナリストは、中国による経済スパイ活動を封じるため、アメリカは新たな制裁措置を講じるべきだと主張する。

「中国のハッキングに対する仕返しとして、アメリカは対象を特定して国際的な制裁体制を築くべきだ。サイバースパイ活動で利益を得た企業に制裁を科し、スパイ防止活動を強化することで、人工知能(AI)や量子コンピューター、半導体、通信システムならびに中国の技術戦略の中核となる他の領域に関して、中国のスタートアップや小規模企業を監視する必要がある」と、米シンクタンク外交問題評議会が12月6日に発表した論文の冒頭には書かれている。

「中国共産党と企業は一体」

米共和党のベン・サス上院議員(ネブラスカ州選出)は12月12日、上院司法委員会の会場前で取材に応じ、司法省の報告書についてこう言った。

「中国企業と中国共産党の間にありもしない区別をしたがる人が、ワシントンには多すぎる」と、彼は言った。「(中国による経済スパイ活動は)企業による盗用や、昔からあるスパイ対スパイの駆け引きより遥かに大きい問題だ。中国は習近平国家主席の裁量で実行可能なあらゆる手段を利用することで、戦いを始める前から勝利したがっている。そのために国家権力を利用する時もあれば、民間人や企業を利用することもある。この脅威に今すぐ対処すべきだ」

(翻訳:河原里香)

ニューズウィーク日本版 2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年10月7日号(9月30日発売)は「2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡」特集。投手復帰のシーズンも地区Vでプレーオフへ。アメリカが見た二刀流の復活劇

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ミランFRB理事、積極的な利下げ支持 他の当局者と

ビジネス

米ISM非製造業指数、9月は50に低下 新規受注が

ビジネス

BofA、米利下げ時期予測を10月に前倒し 年内1

ワールド

トランプ氏、ハマスにガザ和平案合意を要求 米東部時
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 3
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、Appleはなぜ「未来の素材」の使用をやめたのか?
  • 4
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 5
    謎のドローン編隊がドイツの重要施設を偵察か──NATO…
  • 6
    「吐き気がする...」ニコラス・ケイジ主演、キリスト…
  • 7
    「テレビには映らない」大谷翔平――番記者だけが知る…
  • 8
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 9
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 10
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び…
  • 5
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 6
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 7
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 9
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 10
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中