最新記事

ASEAN

リー首相「アジアはもうすぐアメリカか中国を選ばなければならなくなる」

U.S. or China? Asia May Soon Be Forced to Choose Sides

2018年11月16日(金)15時20分
ジェイソン・レモン

シンガポールのリー・シェンロン首相(写真左)は米中関係の悪化が続くことに懸念を示した Yong Teck Lim/REUTERS

<ASEANとの一連の首脳会議で明らかになったアジアめぐる米中の覇権争いに、シンガポールの現実主義リー・シェンロン首相は言った>

シンガポールのリー・シェンロン首相は11月14日、大国アメリカと中国の緊張関係が続けば、アジア諸国はどちらにつくかの難しい選択を迫られるだろう、と警告した。

シンガポールで開催されたASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議後、会見で発言した。同日行われたASEANとアメリカの首脳会議には、マイク・ペンス米副大統領が出席した。

「もしある国が敵対する2国の両方と友好関係にあるなら、両方と上手くやれる場合もあるし、それで逆に気まずくなる場合もある」とリーは言った、と香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは伝えた。米中の狭間で「どちらか一方を選ばすに済むのが非常に望ましい」とも言った。「すぐに選ばずに済むことを願っている」

シンガポールは1967年のASEAN発足当初からの加盟国。ASEANはアメリカと強固な結び付きを維持する一方、アジアの大国である中国とも同等の関係を築いてきた。だがASEAN加盟国のなかには南シナ海の領有権を中国と争っている国もあり、関係は複雑だ。

米中関係では、トランプが今年に入って中国との貿易摩擦をエスカレートさせ、7~9月に中国からの全輸入のおよそ半分に相当する計2500億ドル分に制裁関税を発動。中国も報復措置として、アメリカからの全輸入の約85%に相当する1100億ドル分に制裁関税を課した。ペンスはASEAN首脳会議に先立って、たとえそれが「新冷戦」を意味することになろうとトランプ政権は貿易摩擦で中国側に一切譲歩しない、と明言した。

アメリカの脅威になった中国

米情報機関と米軍関係者も、中国がアメリカに最も重大な脅威を与えている、と警告している。「中国は、アメリカの対敵情報活動が直面する最も広範かつ複雑な脅威となっている」と、クリストファー・レイFBI(米連邦捜査局)長官は10月10日、米上院国土安全保障委員会で証言した。

「中国は明日、明後日の戦いを仕掛けている」と、レイは強調した。「それはアメリカのあらゆる経済活動、あらゆる州で影響を及ぼす。われわれが大切にしているものすべてが対象になる」

中国の習近平国家主席とトランプは、11月末にアルゼンチンで開催されるG20で会談し、貿易摩擦についても接議論する予定だ。トランプは習との個人的な関係や親密さを繰り返しアピールする一方、今後は中国が貿易でアメリカを不公平に扱うことは許さない、と一貫して主張してきた。

ペンスはASEAN首脳との会合で、アメリカにとってASEAN諸国は「かけがえのない戦略的友好国」だと持ち上げた。

「われわれのインド太平洋構想はどの国も排除しない」とペンスは言った。「唯一要求されるのは、互いに敬意をもって接し、各国の主権と国際的な法の秩序を尊重することだ」

(翻訳:河原里香)

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾総統「26年は重要な年」、主権断固守り防衛力強

ワールド

再送トランプ氏、シカゴやLAなどから州兵撤退表明 

ビジネス

ビットコイン、2022年以来の年間下落 最高値更新

ワールド

ゼレンスキー氏「ぜい弱な和平合意に署名せず」、新年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 8
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中