最新記事

韓国事情

韓国は、「反日」ではなく「卑日」になったのか?

2018年11月13日(火)19時30分
佐々木和義

10月30日の韓国大法院 Kim Hong-Ji-REUTERS

<日本と韓国の関係を波立せる出来事が相次いでいる。日本を貶めることで満足する韓国の感覚は、かつての「反日」ではなく、「卑日」だという見方がある...>

このところ、日本と韓国の関係を波立せる出来事が、政治からカルチャーまで相次いでいる。韓国の人気グループ防弾少年団(BTS)が、2018年11月9日放送のテレビ朝日「ミュージックステーション」に出演する予定だったが、放送前日にキャンセルが決まった。メンバーの1人が1年前に着ていたTシャツが波紋を呼び、テレビ朝日は着用の意図を尋ねるなど、所属レコード会社と協議を進めた結果、出演を見送ると発表した。

問題となったTシャツには、原爆投下の写真や愛国心を煽る文字などがプリントされており、ある芸能事務所はK-POPの収益の半分以上を生み出す日本との関係の先行きを懸念している。

BTSは11月7日にリリースしたシングルアルバムが日本オリコンデイリーランキングで1位を獲得するなど日本での人気も高いが、テレビ朝日のほか、NHKの「紅白歌合戦」やフジテレビの「FNS歌謡祭」など他局の音楽番組の出演も白紙撤回となる可能性が濃厚だ。

反日思想を持つ人はさほど多くはない

反日デモや反日行動が許容される韓国だが、反日思想を持つ人はさほど多くはない。訪日韓国人は年間700万人を超え、訪問したい国ランキングで日本は1位に選ばれている。反日教育を受けた世代など日本を敵視する人がいる一方、海外就職先として人気が高く、好意的な人が多い。統治時代のソウルで育った世代は、相手が日本人とわかると目を輝かせて当時の思い出を語ってくれるほどだ。

最近では、以下のようなイベントが開催されていた。日本人の誘客を目的に韓国観光公社と忠清南道、扶余郡は2018年11月3日に「第2回ウォーキングフェスタin百済」を開催。日本人約250人を含む2000人余りが参加して、グドゥレナル渡船場跡やユネスコ世界文化遺産に登録された百済歴史遺跡の官北里遺跡、扶蘇山城、宮南池などを訪問した。

かつて百済の首都があった韓国中西部の忠清南道扶余郡は、現地に居住する2人の日本人が日本語ガイドとして活動するなど、多くの日本人観光客が訪れている。

反日とは別の「卑日」?

日本人を誘客し、交流を求める一方で、日本を貶めることで満足する韓国の感覚は、かつての「反日」ではなく、「卑日」だという見方がある(日経ビジネス)。

日本が戦後の経済成長を遂げた時代、韓国は朝鮮戦争の後遺症が残る韓国にアジアで支援をし得る国は日本しかなく、日本の経済援助や技術協力を求めたが、日本に遅れをとっているという感覚を抱いていた。日本と対等になるために日本から学ぶ方法を選択し、漢江の奇跡と呼ばれる発展を遂げたが、いまだ日本に追いついていないという意識を持つ人は少なくない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、米が中印関係改善を妨害と非難

ワールド

中国、TikTok売却でバランスの取れた解決策望む

ビジネス

SOMPO、農業総合研究所にTOB 1株767円で

ワールド

中国、米国の台湾への武器売却を批判 「戦争の脅威加
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中