最新記事

アメリカ政治

米中間選挙、ハリウッドが描く「反トランプ作戦」のシナリオとは?

2018年11月1日(木)16時00分

狙いは35歳以下の有権者

米議会の両院における優位性を共和党から奪い返し、トランプ大統領の政策推進を阻止するために民主党が対策を模索する中で、ハリウッドのいくつかの団体も両院の議席に狙いを定めている。

目立たない州知事や州司法長官の選挙に対する関心を集めようと、「OMG WTF」を立ち上げたシーハン氏もその中の1人だ。

同グループはジョージア州知事選挙でステイシー・エイブラムス民主党候補を応援するために即興のコメディイベントを主催。ミシガン州で民主党の知事候補に選出された元州上院院内総務のグレッチェン・ウィトマー氏のためには、マジックショーを企画した。

こうしたイベントには、米人気ドラマ「グリー」に出演するスター俳優ダレン・クリスさんや「ザ・ホワイトハウス」に出演するブラッドリー・ウィットフォードさんなどのセレブが参加。特にターゲットとされたのは、歴史的に投票率が低い35歳以下の若い有権者だ。

ウィットフォードさんは、「ダウンバロット」選挙への注力を強めることが民主党にとって特に大切だ、と話す。

「右派は、選挙に負けると教育委員に立候補し、州司法長官に立候補し、シンクタンクを立ち上げる」とウィットフォードさんはロイターに語った。「ところが左派は、お手上げのまま、選挙制度が腐敗していると言い、しまいには政治参加をやめてしまう」

「進歩的な有権者の意識を高める必要があると思う。特に若い人たちだ」と彼は言う。

ピアノバーで開かれた資金集めパーティでは、回るミラーボールの下でゲストたちが「ホワイト・ルシアン」などのカクテルを口にするなかで、シーハン氏が「ダウンバロット」選挙の重要性を説いた。

州議会議員などを押さえれば、トランプ政権に対するブレーキになる、と彼は参加者に語った。州司法長官は連邦法を阻止する訴訟権限を持ち、州務長官は有権者へのアクセスに影響を及ぼすことができる。

さらにシーハン氏は、州知事の多くは、州議会によって10年に1回見直される連邦議会選挙の選挙区割りに政治的意図が働いていた場合には拒否権を行使できる、と指摘した。

「連邦政府が行動しない場合でも、州単位での改革をつなぎ合わせて大きくすることはできる」とシーハン氏。また、州のリーダーたちは将来の国政選挙に向けた候補者を選ぶ基盤になる、と付け加えた。

「OMG WTF」は夏の発足以来、最初の数週間で10万ドル(約1130万円)以上の資金を集めたという。この資金は「ダウンバロット」選挙に出馬する民主党候補向けの寄付や、啓発用の資料、大学キャンパスでのイベントなどの費用に充てられる。

この団体以外にも、米人気歌手ジョン・レジェンドさんは刑事司法改革を支持する地区検事長候補への支援を呼びかけ、女優のアリッサ・ミラノさんは民主党のフロリダ州知事候補アンドリュー・ギラム氏などのために電話での投票依頼を手伝っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米9月PPI、前年比2.7%上昇 エネルギー商品高

ビジネス

米9月小売売上高0.2%増、予想下回る EV駆け込

ワールド

欧州司法裁、同性婚の域内承認命じる ポーランドを批

ワールド

存立危機事態巡る高市首相発言、従来の政府見解維持=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    放置されていた、恐竜の「ゲロ」の化石...そこに眠っ…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    使っていたら変更を! 「使用頻度の高いパスワード」…
  • 10
    トランプの脅威から祖国を守るため、「環境派」の顔…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中