最新記事

日本社会

地方が「成功者への妬み地獄」から脱出する4つの行動 「様子見」は挑戦者潰しへの加担と同じ

2018年11月22日(木)18時36分
木下 斉(まちビジネス事業家)*東洋経済オンラインより転載

簡単なことですが、たとえば地産地消のレストランなどができたら「地元の長老たちなども一度は食べにいってあげる」「口コミで広げてあげる」役所の人たちも「ランチでもいいから一度は皆で食べに行こう」という輪を広げることに徹底します。これがスタートアップ(創業)時のいちばん苦しい時期を乗り越える力になります。

「応援する」=「売り上げに貢献する」こと

たとえば、愛知県春日井市で始まったある英会話教室は、商店街の空き地を購入、たった生徒4人からのスタートでしたが、今は地元でとても話題です。もちろん、経営者の方の努力があってこそですが、PTA会長から商工会議所役員、ロータリークラブの役員などを務めた地元長老たちもともに口コミを広げて応援した結果、1年で約100人の生徒が来る人気英会話教室へと生まれ変わりました。

応援は具体的行動、つまりは売り上げにつながることに協力することにほかなりません。

もちろん「2度目以降があるかどうか」は店の努力次第としても、一度くらいは皆で応援してあげるつもりで行ってみたり、お客さんを紹介してあげることが大切です。消極的に「心の奥底で応援」などといっても、意味はないわけです。また、ライバルならともかくほかの業種などで「お手並み拝見」な姿勢をとっている人には、「そんなこと言ってないで、新たにオープンしたんだから、応援しろ!」と場合によっては喝を入れないとならないケースもあるかもしれません。さらに、自分だけあるいは知人を誘って店にいくだけでなく、メディアなど宣伝に協力してあげたり、SNSなどの口コミで広げるなど、いくらでもやりようはあります。

創業支援は、ともすると行政の支援策ばかりが議論されがちですが、本来はお客さんとして定着する地元の人たちにできることのほうが大きいのです。

②「様子見」は、潰しに加担しているのと同じ

先ほども触れましたが、新しくできたパン屋さんでも英会話教室でも「あそこの店は3カ月で潰れる」「1年は保たない」などと言ってお手並み拝見、のように斜に構えた姿勢でいては、実は地元住民として「潰しにいっている」に等しいのです。何より地域経済においては、集積メリットがあり、誰かが繁盛したら客をとられるのではなく、むしろ客を地元に呼んできている側面が強くあります。誰も繁盛していないところよりも、誰かは繁盛しているほうが、その地域に可能性があるのは言うまでもありません。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

小泉防衛相、中国軍のレーダー照射を説明 豪国防相「

ワールド

米安保戦略、ロシアを「直接的な脅威」とせず クレム

ワールド

中国海軍、日本の主張は「事実と矛盾」 レーダー照射

ワールド

豪国防相と東シナ海や南シナ海について深刻な懸念共有
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 8
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 9
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中