最新記事

ヘルス

太るかどうかは幼少期の「菌」で分かる

The Obesity Bug

2018年10月17日(水)17時45分
カシュミラ・ガンダー

家庭用消毒剤が子供の肥満を招く? Grase/iStock.

<幼いときの口内と腸内の細菌群を調べることで肥満になるリスクが分かる?>

肥満は悩ましい問題。けれども、子供が大きくなってから肥満になるかどうかが幼いうちに分かるとしたら? 科学者たちは、幼児の口腔内にいる細菌群(口内フローラ)からそのヒントが得られると考えている。

これはペンシルベニア州立大学による研究だ。科学者のチームは、2歳児とその母親226組の口内と便から口内・腸内細菌を採取して調査を行った。

その結果、乳児のときの体重増加(将来肥満になるかどうかの重要な指標となる)が急激な子供は口内細菌の種類が少なく、脂肪の燃焼につながるバクテロイデス門の菌より脂肪の蓄積につながるフィルミクテス門の菌が多かった。

一方で、腸内細菌群(腸内フローラ)と急激な体重増加の関連性は確認されなかった。これは乳児の腸内フローラが、まだ発達途上の段階にあることを示している。

この結果は、成人と10代の若者それぞれの肥満者を対象とした過去の腸内フローラの研究結果に合致している。「一般的な2つの細菌群であるフィルミクテス門とバクテロイデス門には一定のバランスがあり、それが崩れると消化に異常を来す可能性がある」と、論文の筆者の1人であるペンシルベニア州立大学のサラ・クレイグは言う。

彼女は、今回の研究は腸内フローラの検査が一時点だけだった点で限界があると認めた。次の研究では、ペンシルベニア州外のより多様性のある対象に調査を行い、同様の結果が出るよう期待しているという。

消毒剤に意外な影響力

肥満とは何の関係もなさそうな家庭環境も、子供の将来的な肥満リスクを高める要因になる可能性がある。

カナディアン・メディカル・アソシエーション・ジャーナル誌に発表された別の論文によれば、家庭用消毒剤を週に1回以上使用している家に住む子供はそうでない子供に比べて、肥満度を示すBMI値が3歳までに高くなっていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日中双方と協力可能、バランス取る必要=米国務長官

ビジネス

マスク氏のテスラ巨額報酬復活、デラウェア州最高裁が

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 6
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 7
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 8
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中