最新記事

経済

米国株、連日の急落 市場で広がる「調整局面」突入懸念

2018年10月12日(金)08時59分

ビラー・アンド・カンパニーのポートフォリオマネジャー、サンディ・ビラー氏は「金利が上昇する際、過熱している景気に冷や水を浴びせることがあり得る。それこそが現在、起きている出来事のように見える」と話した。

米国株は2009年3月に始まった強気相場が過去最長になったと幅広く考えられている。

ガレーン・キャピタル・パートナーズのマネジングパートナー、トリップ・ミラー氏は「市場は強気相場が10年続き、その間に10%の調整はほとんど視野に入ってこなかったし、その節目が近づくたびに相場は反発してきた。今回、従来と異なるのは、10年債利回りがずっと高い水準になっている点で、市場は遅ればせながら調整を迎えつつあるのだと思う」と述べた。

<業績見通し次第>

S&P総合500種指数が長期にわたる下落局面に入るかどうかは、企業が向こう数週間で発表する四半期決算で示す業績見通しに左右される。

I/B/E/S業績予想によると、S&P総合500種企業の1株当たり利益(EPS)は第3・四半期は前年同期比21%増、第4・四半期は20%増と見込まれている。

だが2019年は、今年開始された大規模な法人税減税の実施から1年が経ち、企業が今年ほどの大幅増益を再び達成できる公算は小さい。

企業経営陣の決算発表に伴う会見では、トランプ大統領の対中通商政策が各社の事業にどのような影響を及ぼすかについての具体的な見通しも出てくる。

また11日に発表される9月の消費者物価指数(CPI)で、FRBがこれまでの予想より急速に利上げを進めるとの懸念が広がるかもしれない。

アリアンツ・グローバル・インベスターズ(ニューヨーク)の米国投資ストラテジスト、モナ・マハジャン氏は「市場は、金利の上昇が最終的に住宅ローンや自動車ローン、学生ローンの金利(押し上げ)という形で実体経済に浸透する可能性を消化しつつある。現在見られるのは、市場が今後の成長が下振れする恐れに備えている姿だ」と語った。



Noel Randewich
[10日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 台湾有事 そのとき世界は、日本は
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月26日号(8月19日発売)は「台湾有事 そのとき世界は、日本は」特集。中国の圧力とアメリカの「変心」に強まる台湾の危機感。東アジア最大のリスクを考える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ノルウェーSWF、ガザ関連でさらに6社投資除外

ワールド

ゼレンスキー氏、ロシアの「冷酷な」攻撃非難 「訪米

ワールド

イラン、協力停止後もIAEAと協議継続 「数日中に

ワールド

米特使、イスラエルはレバノン和平計画に従うべき
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に入る国はどこ?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    AIはもう「限界」なのか?――巨額投資の8割が失敗する…
  • 5
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 6
    恐怖体験...飛行機内で隣の客から「ハラスメント」を…
  • 7
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 8
    40代は資格より自分のスキルを「リストラ」せよ――年…
  • 9
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 10
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 7
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 8
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 9
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 10
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中