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英国、デジタルサービス税導入へ オンライン大手のみ対象に20年4月から

2018年10月30日(火)10時33分

10月29日、英国は、グーグルやフェイスブック、アマゾン・ドット・コムなどオンライン大手を対象に新たな「デジタルサービス税」を導入する計画を明らかにした。英ブライトンで2017年9月撮影(2018年 ロイター/Toby Melville)

英国は29日、グーグルやフェイスブック、アマゾン・ドット・コムなどオンライン大手を対象に新たな「デジタルサービス税」を導入する計画を明らかにした。

オンライン大手が英国のユーザーから稼ぐ収入を対象に2020年4月から2%の税を課す。

ハモンド財務相は予算に関する演説で「デジタルプラットフォーム事業が英国内で大きな価値を生み出しながら、その事業について英国で税金を払わないのは明らかに持続不可能で、不公平だ」と述べた。

スタートアップ企業ではなく大手が税を負担するような仕組みにする考えも示した。

新税は世界の売上高が年間5億ポンド以上の黒字企業が対象となる見通しで、年間4億ポンド(5億1200万ドル)超の税収を見込む。ハモンド財務相は、検索エンジンやソーシャルメディア、ネット通販などのプラットフォームが対象になると説明した。

ハーグリーブス・ランズダウンのアナリスト、レイス・カラフ氏は「アマゾンだけで今年2330億ドルの売上高を計上すると予想されていることを踏まえると、4億ポンド程度の税収は少額に見えるかもしれないが、ハイテク大手やその株主にとっての懸念は、これが各国政府による課税の波の始まりになることだ」と指摘した。

ハモンド財務相は、国際税制の見直しを英国として主導してきたが、進展は遅く、協議を永遠に続けることはできないと述べた。

クリフォード・チャンスの税制パートナー、ダン・ネイドル氏は英政府の計画について、国際税制改革の進展の遅さに対する英国のいらだちを浮き彫りにしているとし、「英国はスペインを除く他の国に先行した格好だ」と話した。

欧州委員会は3月、グーグルやフェイスブックなどIT大手の電子商取引の売上高に3%の税を課すことを提案した。しかし、税収減少を懸念するアイルランドや、多くのIT大手の本拠地である米国からの報復などを懸念する北欧諸国など経済規模の小さい国が反対している。

ハモンド財務相は、国際的な対応策がまとまれば採用を検討するとの考えを示した。

アマゾンとネットフリックスはコメントを差し控えた。フェイスブックは英国の計画についてより詳しい情報が明らかになるのを待つとした上で、それまでコメントするのは尚早だとした。

29日の米国株式市場で、アマゾンは6.3%安、グーグルの親会社アルファベットは4.5%安、フェイスブックは2.3%安。他の「FAANG」銘柄ではネットフリックスが5%、アップルが1.9%、それぞれ下落した。

[29日 ロイター]


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