最新記事

極右

ドイツ連立政権、極右野党を治安上の監視対象にするか方向性に違い

2018年9月4日(火)13時32分

9月3日、ドイツ最大野党の極右「ドイツのための選択肢(AfD)]が反イスラムを掲げる団体との関係を疑われている問題への対応について、大連立を組む与党間で考え方に違いが生じている。写真右はキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)のメルケル氏、左は社会民主党(SPD)のショルツ氏。ドイツのメセベルクで撮影(2018年 ロイター/Axel Schmidt)

ドイツ最大野党の極右「ドイツのための選択肢(AfD)]が反イスラムを掲げる団体との関係を疑われている問題への対応について、大連立を組む与党間で考え方に違いが生じている。

問題となっているのは、東部ケムニッツで前週末に1人の男性が2人の移民に刺し殺されたとされる事件を受け、AfDや反イスラム運動「ペギーダ(PEGIDA)」の支持者ら6000人前後が参加して行われた一連のデモ活動。

同事件の容疑者がシリア人とイラク人であることが判明すると、排外主義を掲げるデモ参加者が暴徒化し、警察と衝突する騒動となった。

ニーダーザクセンとブレーメンの両州は3日、州の治安当局が、AfDの青年組織の地方支部を監視対象にしたと発表。反イスラム団体とのつながりが疑われていることを理由に挙げた。

これを受けて、AfD自体も監視対象にすべきとの声が政治家や活動家などから出ているが、メルケル首相は記者団に、監視対象を決めるのは治安当局だと指摘。自身が直接関与しない考えを示し、「これは政治的に決めることではなく、事実に基づいて決定することだ」と述べた。

メルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と大連立を組む社会民主党(SPD)に属するショルツ財務相は、メルケル氏が示した原則に同意するとしながらも、ケムニッツでの暴動は、AfDを監視対象にすべきかどうかを再検討する明確な理由になるとの見方を示した。

独憲法は過激主義の厳格な取り締まりを規定しており、過激主義を掲げる政党を監視あるいは禁止することが可能となっている。

昨年の連邦議会選挙で13%近い得票率を集めて初の議席を獲得したAfDは、ケムニッツの騒動後にテレビ局RTLが行った世論調査で、支持率が2%ポイント上昇し、16%となった。

[ベルリン 3日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ロ、欧州向けガス供給巡り協議 ロシア当局者が確認

ワールド

ゼレンスキー氏、10日に「有志連合」首脳会議を主催

ワールド

週末の米中貿易協議、前向きな展開の兆し=米NEC委

ビジネス

トランプ氏、富裕層増税「問題ない」 共和党に政治的
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノーパンツルックで美脚解放も「普段着」「手抜き」と酷評
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 5
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 6
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 7
    「金ぴか時代」の王を目指すトランプの下、ホワイト…
  • 8
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..…
  • 9
    12歳の子供に二次性徴抑制剤も...進歩派の極端すぎる…
  • 10
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 7
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    野球ボールより大きい...中国の病院を訪れた女性、「…
  • 10
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中