最新記事

北朝鮮

北朝鮮紙「アメリカは殺人部隊の侵攻のための秘密演習を行っている」

North Korean Newspaper Says U.S. Is Planning a War

2018年8月28日(火)12時30分
ヤクブ・ルワンドウスキ

仁山上陸作戦の合同演習を行う米韓軍(2015年) Kim Hong-Ji-REUTERS

<非核化の進展を条件に一歩も動かないアメリカに対して逆ギレか>

マイク・ポンペオ米国務長官の訪朝が中止されたことを受けて、北朝鮮の新聞は8月26日、アメリカが北朝鮮への侵攻を計画していると非難した。

朝鮮労働党の機関紙である労働新聞は論評で「アメリカは笑顔で対話を行いながら、殺人部隊が関与する秘密演習にいそしんでいる。アメリカのこの二枚舌を看過することはできない。古くさい『砲艦外交』によって相手を威嚇することができると考えているなら、それは哀れな間違いだ」と主張した。

ソウルの米大使館はこの「演習」について何も知らないとしているが、ロイター通信によれば、労働新聞は韓国メディアの報道を引用する形で、演習は日本に駐留する米特殊部隊が「平壌に侵攻」する目的で計画したものだと指摘。「こうした行為は、北朝鮮に一方的に非核化させるという不当な要求に失敗した場合に、アメリカが北朝鮮に戦争を仕掛けるという犯罪を企んでいることを示している」とした。

ドナルド・トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長は6月の米朝首脳会談で、アメリカが金正恩政権の「体制保証」を提供するという条件で、北朝鮮が完全な非核化を実施するとした共同声明に署名した。

「中国が非協力的」と不満あらわに

首脳会談の後、トランプは韓国との合同軍事演習を中止・延期したが、トランプ政権は北朝鮮による非核化に進展がみられるまで、朝鮮戦争を正式に終結させる和平協定の締結を留保している。また8月23日には、ポンペオ国務長官が非核化についての交渉を継続するために北朝鮮を訪問することが発表されていたが、トランプが翌日その中止を発表した。

トランプは訪朝中止の決定についてツイート。「マイク・ポンペオ国務長官に、今の時点で北朝鮮を訪問しないよう求めた。朝鮮半島の非核化について、十分な進展がないと感じているためだ」と述べた。

またトランプは「(国連の対北朝鮮制裁があるにもかかわらず)我々が通商面での姿勢を大幅に厳格化させたことを理由に中国がかつてほど非核化のプロセスに協力的ではないと考えている」と、中国に対する不満を表明。ポンぺオの訪朝は「中国との通商問題が解決された後に」なるだろうと述べた。

アメリカは8月23日に、中国に対する追加関税の第2弾を発動。米中間の貿易戦争はますます激しさを増している。

(翻訳:森美歩)

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国万科、債権者が社債償還延期を拒否 デフォルトリ

ワールド

トランプ氏、経済政策が中間選挙勝利につながるか確信

ビジネス

雇用統計やCPIに注目、年末控えボラティリティー上

ワールド

米ブラウン大学で銃撃、2人死亡・9人負傷 容疑者逃
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 5
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 6
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 7
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 10
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中