最新記事

温暖化対策

世界は「ホットハウス」に突入 科学者チーム、温室効果ガス削減では不十分と警鐘

2018年8月7日(火)14時43分

8月6日、ノルウェーやデンマークなどの科学者グループは公表した報告書で、世界が「ホットハウス」(温室)状態に突入するリスクがあるとの見解を示した。写真は山火事の後、車に水をかける住民。アテネ近郊の村で7月撮影(2018年 ロイター/Alkis Konstantinidis)

ノルウェーやデンマークなどの科学者グループは6日に公表した報告書で、世界が「ホットハウス」(温室)状態に突入するリスクがあるとの見解を示した。気候変動を食い止める国際条約のもとで温室効果ガスの削減目標が達成された場合でも、気温は摂氏4―5度上昇する見通しだという。

この報告書はストックホルム・レジリエンス・センター、コペンハーゲン大学、オーストラリア国立大学、独ポツダム気候影響研究所の科学者らがまとめた。

欧州では今年、猛暑により一部で気温が40度を超え、干ばつや森林火災が発生。ギリシャでは7月にアテネ近郊で森林火災が発生し、91人が死亡した。

2015年には、世界の産業革命前からの気温上昇について、2度を「大幅に下回る」水準にとどめる「2度目標」を掲げた新たな枠組み「パリ協定」が採択された。世界約200カ国が合意した。

だが、世界の気温が産業革命前から2度程度上昇した水準に安全に「固定」できるかどうか、また温室効果ガスの排出が抑制された場合でも、この枠組みが温暖化につながるような他のプロセスを引き起こす可能性があるのか、明確ではないという。

現在、世界の平均気温は産業革命前から1度上昇しており、10年ごとに0.17度上昇している。

報告書によると、気温が重要な基準を突破した場合、突然の変化につながるいくつかの転換点が見られる可能性が高いという。これには海底からのメタン水和物の減少、陸上や海中での二酸化炭素吸収量の減少、北極圏・南極圏の海氷や極域氷床の減少などが含まれる。

報告書の著者の1人は「これらの転換点は、ドミノ倒しのようなものだ。地球全体を、次のドミノが倒れる方向へ向かわせる」と指摘。「ドミノの全部の列が倒れることを防ぐのは非常に困難であり、不可能に近いかもしれない。『温室化した地球』が現実となった場合、地球上には住めなくなるだろう」と述べた。

さらに、温室化を防ぐには温室効果ガスの排出規制だけでは不十分であり、たとえば森林・農業・土壌管理の改善、生物学的多様性の保護、大気中から除去した二酸化炭素を地下へ貯蔵する技術などが必要だと主張した。

[ロンドン 6日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
アメリカや中東、アジア、ヨーロッパなど世界の動きから世界経済、キャリア、テック&サイエンス、for Womanの最新トピックまで、ウィークデーの毎朝お届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

MAGAZINE

特集:日本と韓国 悪いのはどちらか

2019-9・24号(9/18発売)

終わりなき争いを続ける日本と韓国── 泥沼の関係に陥った本当の原因と「出口」を考える

人気ランキング

  • 1

    「日本のハイジ」を通しスイスという国が受容されている──スイス国立博物館のハイジ展の本気度

  • 2

    数千億円かけたサウジ防空システムに欠陥 わずか数万円のドローン攻撃に無防備

  • 3

    繁殖を止めるために遺伝子組み換えされた蚊、自然界に放たれ裏目の結果に

  • 4

    韓国・文在寅大統領が最低を更新した、もう1つの支…

  • 5

    韓国に対して、旧宗主国の日本がなすべきこと

  • 6

    米軍戦闘機が撮ったUFO映像「本物」と米海軍が認める

  • 7

    経団連が雇用保険を使った「氷河期世代」救済に反対…

  • 8

    サウジのムハンマド皇太子、韓国に防空システム構築…

  • 9

    チョ・グク法務部長官の任命をめぐる世論の動向

  • 10

    新学期が始まった、でもフランスの子どもは字が書け…

  • 1

    コモドドラゴンの体内に「鎧(よろい)」があることが発見される

  • 2

    サウジ原油施設攻撃で世界は変わる

  • 3

    繁殖を止めるために遺伝子組み換えされた蚊、自然界に放たれ裏目の結果に

  • 4

    ハワイで旅行者がヒトの脳に寄生する寄生虫にあいつ…

  • 5

    韓国航空会社の受難......ウォン安、原油高騰に「ボ…

  • 6

    サウジのムハンマド皇太子、韓国に防空システム構築…

  • 7

    【速報】韓国の文在寅大統領、支持率が過去最低を記録

  • 8

    米軍戦闘機が撮ったUFO映像「本物」と米海軍が認める

  • 9

    「日本のハイジ」を通しスイスという国が受容されて…

  • 10

    【韓国政治データ】文在寅大統領の職業別支持率(201…

  • 1

    ハワイで旅行者がヒトの脳に寄生する寄生虫にあいついで感染

  • 2

    嘘つき大統領に「汚れ役」首相──中国にも嫌われる韓国

  • 3

    日本はもはや後進国であると認める勇気を持とう

  • 4

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 5

    ヒマラヤ山脈の湖で見つかった何百体もの人骨、謎さ…

  • 6

    「鶏肉を洗わないで」米農務省が警告 その理由は?

  • 7

    コモドドラゴンの体内に「鎧(よろい)」があること…

  • 8

    サウジ原油施設攻撃で世界は変わる

  • 9

    「TWICEサナに手を出すな!」 日本人排斥が押し寄せる…

  • 10

    タブーを超えて調査......英国での「極端な近親交配…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2019年9月
  • 2019年8月
  • 2019年7月
  • 2019年6月
  • 2019年5月
  • 2019年4月