最新記事

ギャンブル

カジノ関連国内企業の動き活発化へ、IR法案成立で

2018年7月22日(日)13時00分

7月20日、カジノを含む統合型リゾート施設整備法案が参院で可決・成立したことを受け、日本初のカジノ経営への参画を目指す国内企業が攻勢を強める見通しだ。写真は2013年9月、都内で開催された国際観光促進シンポジウムで撮影(2018年 ロイター/Yuya Shino/File Photo)

カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案が参院で可決・成立したことを受け、日本初のカジノ経営への参画を目指す国内企業が攻勢を強める見通しだ。

同法案を巡っては、2016年12月に「統合型リゾート(IR)整備推進法案」が可決されたことを受け、カジノ、商業施設、会議室などを統合したリゾート施設を設置するために必要な法律が策定された。

IR整備法では、1)最初の段階として全国で最大3カ所を設置場所とする、2)カジノ収益の納付金税率を30%とする、3)カジノのスペースをIR全体床面積の3%以内とする──ことなどが決められた。業界関係者は、必要な事項は同法で規定されたとしている。

日本社会では、ギャンブル依存症や犯罪と結びつけられがちなカジノビジネスへの参入意思表明をためらっていた国内企業も、これで「お墨付き」が与えられることになると企業幹部やロビイストらは指摘する。

アナリストによると、統合型リゾートは最大で250億ドルの利益を生み出すと試算され、長年のデフレに苦しむ日本経済にとって救世主となる可能性がある。

金融、不動産、建設、観光など多業種にわたる国内企業が、カジノ運営会社と組んで事業に参画したいと狙っている。

これまでに具体的な計画を発表した企業はないが、候補として名前が挙がるのは大林組、三菱地所、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)など。

大林組の広報担当者は、IRプロジェクトに投資するかどうかは決めていないと述べた。同社は5月にカジノリゾート対策チームを立ち上げた。

三菱地所は、IRに出資する可能性は低いものの、関連不動産プロジェクトに関与する可能性はあるとした。

三井住友銀行広報部は「カジノリゾートへの出資を検討している事実はない」としている。ただ、「海外カジノオペレ―ターなどへのヒアリングを含め、業界動向や影響等について様々な観点から幅広く調査活動を行っている」という。

一方、日本のカジノ市場への参入を目指す運営会社は、米系のラスベガス・サンズ、MGMリゾーツ・インターナショナル、マカオのギャラクシー・エンターテインメント・グループなど。

ラスベガス・サンズの世界市場開発担当専務取締役、George Tanasijevich氏は「このプロジェクトには今後ますます関心が高まり、予算や人材が集まる」とみている。同氏は「様々な動きが出てくるだろう。現実的なオプションを検討し、株主の要望について考え始めるだろう」と話した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ハマス、米停戦案に「前向き」回答 直ちに協議の用意

ワールド

米テキサス州の川氾濫、少なくとも24人死亡 女子向

ワールド

トランプ氏、12カ国への関税書簡を7日に送付 対象

ビジネス

焦点:航空機の納入遅れ、背景に高まる「特注高級シー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸せ映像に「それどころじゃない光景」が映り込んでしまう
  • 4
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 5
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 6
    「登頂しない登山」の3つの魅力──この夏、静かな山道…
  • 7
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 10
    1000万人以上が医療保険を失う...トランプの「大きく…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 5
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 8
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中