最新記事

貿易戦争

米国、新たに食品から石炭まで2000億ドル相当の中国製品に10%の関税適用へ

2018年7月12日(木)08時25分

7月10日、トランプ米政権は、追加で2000億ドル相当の中国製品に10%の関税を適用する方針を明らかにし、新たな対象品目リストを公表した。上海の港で撮影(2018年 ロイター/Aly Song)

トランプ米政権は10日、追加で2000億ドル相当の中国製品に10%の関税を適用する方針を明らかにし、新たな対象品目リストを公表した。

リストには食品やたばこ、石炭、化学品、鉄鋼、アルミニウムのほか、タイヤ、家具、ハンドバッグ、ペットフード、カーペット、自転車、スキー板、トイレットペーパーなど幅広い消費財が含まれた。

ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は「トランプ政権は1年以上にわたり中国に対し、不当な慣行をやめて市場を開放し、真の市場競争に参加するよう忍耐強く求めてきた」とし、「しかし、中国は米国の正当な懸念に対処するどころか、米国製品への報復措置に乗り出した。こうした行動に正当化の余地はない」と述べた。

米政府は先週、340億ドル相当の中国製品に対し25%の関税を発動し、中国も直ちに同規模の関税措置で対抗した。また、トランプ大統領は最終的に5000億ドル余りに相当する中国製品に関税を課す可能性があると警告していた。

新たなリストでは、先週発動された25%関税よりも多くの消費財が対象に挙げられており、消費者と小売業者への直接的な影響が大きいとみられる。

トランプ政権の新たな関税リスト公表を受け、一部の経済団体や有力議員からは強い批判が出ている。

上院財政委員会のハッチ委員長(共和党)は「無謀な措置に見え、的を絞ったアプローチではない」と述べた。

また、米商工会議所は「単純に言って、関税は税金だ」とし、追加で2000億ドル相当の製品に税金を課せば、米国の家庭や農家、労働者、雇用主のコスト上昇につながるほか、報復関税を招き、米労働者にとって一段の痛手になると警告した。

小売業リーダーズ協会(RILA)も「大統領は『中国に最大の打撃をもたらし、米消費者への痛手は最小にする』という約束を破った」と批判した。

米当局者によると、新たな関税リストは2カ月間のパブリックコメント募集期間を経て最終決定される。

中国政府の反応はこれまでのところないが、国営英字紙チャイナ・デイリーは社説で、中国には、米国と同じ手段を用いて対抗する以外の選択肢はないと主張。「国内企業のコスト負担を最小限に抑え、世界の投資家に中国経済をさらに開放するための適切な措置を講じる一方で、断固として対抗する必要がある」と論じた。

オックスフォード・エコノミクスのアジア経済部門トップ、Louis Kuijs氏は、中国は米国の今回の措置を強く非難するとみられるが、中国の政策対応は当面限定される可能性が高いと指摘。その理由として、報復手段が限られていること、追加関税導入に向けた米政府の手続きがまだ初期段階にあることを挙げた。

格付け会社ムーディーズのエレナ・ダガー氏は「論争が長期にわたり続き、保護主義的措置が今後も強まる見込みがさらに強まった」と述べた。

*内容を追加して再送します。



[ワシントン 10日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:ネットフリックス、ワーナー買収失敗でオリ

ビジネス

午後3時のドルは159円後半でもみ合い、欧米休暇前

ワールド

焦点:米撤退ならイランがエネルギー供給掌握へ、攻撃

ビジネス

テスラが日本で販売強化、燃料・物価高追い風 6人乗
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 2
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 3
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受給年齢」
  • 4
    破産申請の理由の4割以上が「関税コスト」...トラン…
  • 5
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 6
    満を持して行われたトランプの演説は「期待外れ」...…
  • 7
    日本の男女の賃金格差は世界でも突出して大きい
  • 8
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 9
    先進国が出生数の減少を嘆く必要はない? 「経済的…
  • 10
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 4
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 5
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 6
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 7
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中