最新記事

貿易戦争

貿易戦争は日米も? 「通商対話は8月、農産物自由化のFTAには応じない」麻生財務相

2018年7月27日(金)13時49分

7月27日、麻生太郎財務相(写真)は閣議後会見で、7月に予定されていた日米通商交渉対話(FFR)が8月に開催されるとの見通しを示した。写真はイタリアのバーリで昨年5月撮影(2018年 ロイター/Alessandro Bianchi)

麻生太郎財務相は27日の閣議後会見で、7月に予定されていた日米通商交渉対話(FFR)が8月に開催されるとの見通しを示した。米側が望むFTA(自由貿易協定)は日本側として呑めない姿勢を改めて示した。

ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は26日米公聴会で30日以内に日本と通商対話を開く意向を示した。この点にいて麻生財務相は、「ライトハイザー代表はFFRをFTAの裏付けにしようとしているが、日本側はFTAをやるつもりはないと最初から申し上げている」と述べ、米国の競争力が大きい農産品などの自由化を含みかねないFTA圧力をけん制した。

通商対話の時期については「7月末がダメだったから、8月どこかでやるでしょう」とした。

米国と欧州連合(EU)が25日合意した新たな貿易交渉については「詳細はよくわからない。したがってコメントすることはない」とした。その上で、米国の貿易赤字は、対中国が最も大きく、次いでEU、NAFTA(北米自由貿易協定)加盟国(メキシコ・カナダ)、次いで日本の順となるため、米国の対日貿易交渉について「日本まで来るのは時間がかかる」と見解を示した。同時に「流れをみて色々検討しないといけない」と米通商政策を注視する姿勢を強調した。

21─22日にブエノスアイレスで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀国総裁会合では「世界経済は堅調に動いているが、下方リスクが存在している。「下方リスクが増大する可能性について色々議論した」と述べ、金融・財政など「すべての政策手段を引き続き用いていく」合意を確認したという。為替に関しても、従来の合意を再確認したと明らかにした。

麻生財務相はG20会合後にニュージーランドに立ち寄っており、ピーターズ副首相と会合した経緯について、環太平洋経済連携協定(TPP)への英国加盟意向などについて情報交換したことを明らかにした。
(竹本能文※)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

202404300507issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:「豪華装備」競う中国EVメーカー、西側と

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 4

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中