最新記事

輸送システム

イーロン・マスクのもう一つの企業「ボーリング」社、地下に画期的な交通システム構築へ

2018年6月12日(火)18時20分
鳥嶋真也

ダウンタウンからLAXまで10分で結ぶ「ループ」

そしてマスク氏は、この交通システムのひとつをロサンゼルスに造ると発表。5月17日に現地の住民を対象にした説明会を開いた

計画では、ダウンタウンからロサンゼルス国際空港までをトンネルで結び、最高速度約240kmで走る「ループ」と呼ばれる乗り物を導入。所要時間は約10分で、運賃は1ドルだという。

ループは、トンネルの中央にあるガイドレールに沿って走る、自動車と鉄道を組み合わせたような乗り物。バスのような箱型の車両と、お盆のような皿状の車両の2種類があり、前者には8人から16人の乗客が乗ることができ、後者は1台の乗用車を載せて運べる。

電動なので環境にやさしく、またトンネル内を走る車両を共通化することでコストダウンや効率化を、さらに自動運転することで安全性の向上が図られている。

計画では、まず手始めに4.3kmのトンネルで試験を行い、そこからのフィードバックを経て、今回発表の構想を実現させるとのこと。実現時期は明言されなかった。また東海岸やシカゴなど、他の地域でも同様のシステムの建設を検討しているという。

ボーリング社が計画している地下トンネル網と、「ループ」の想像図 (C) The Boring Company

ハイパーループ

マスク氏はさらに、同社やスペースXなどを巻き込む形で、「ハイパーループ」という計画も進めている。ハイパーループは真空にしたトンネルの中を、時速1000kmものスピードで走る乗り物で、ループ同様、乗客を乗せるポッドと、車を載せる台車を用意するという。

ボーリングによると、ループは都市の中の移動に、ハイパーループは都市と都市との間の移動に使うことになるとしている。つまるところ、地上の一般道と高速道路、あるいは在来線と新幹線のような違い

現在のところ、こうしたボーリングの構想を実現するためには、資金と許可が課題だという。ただ、前者については同社のロゴの入った帽子火炎放射器の販売で徐々に集まっており、後者についても近々試運転の許可が得られる見通しで、許可が下り次第、試乗会を開催したいとも語られている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドルおおむね下落、米景気懸念とFRB

ビジネス

ステーブルコイン普及で自然利子率低下、政策金利に下

ビジネス

米国株式市場=ナスダック下落、与野党協議進展の報で

ビジネス

政策不確実性が最大の懸念、中銀独立やデータ欠如にも
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 8
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 9
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 10
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中