最新記事

日本社会

東京五輪に向け活気付く「ラブ」業界 知られざる日本の魅力アピール

2018年6月9日(土)13時00分

5月25日、2019年のラグビーワールドカップ(W杯)と翌年の東京五輪に向けた準備が進む中、さまざまな企業が、日本を訪問する大勢の観光客やメディア、選手たちをビジネスチャンスにつなげようと画策している。写真は都内のラブホテル。23日撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

2019年のラグビーワールドカップ(W杯)と翌年の東京五輪に向けた準備が進む中、さまざまな企業が、日本を訪問する大勢の観光客やメディア、選手たちをビジネスチャンスにつなげようと画策している。

来年9月開幕のラグビーW杯と、その10カ月後に行われる東京五輪は、日本製品に始めて触れるであろう国際的かつ多様な顧客に接するまたとない好機になると、こうした企業は心待ちにしている。

訪日選手団に期待を寄せる業界の中には、日本のコンドームメーカーが含まれる。 

競技を終えて羽を伸ばしたい選手たちのために、五輪の主催者側が何万個ものコンドームを配布することは、すでに恒例となっている。

2016年開催されたリオ五輪の選手村では、50万個近くのコンドームが配布された。また2008年の北京五輪で配られたコンドームには、「より速く、より高く、より強く」というオリンピックのモットーが書かれていた。

オーストラリアの射撃選手でアトランタ五輪の金メダリスト、ラッセル・マーク氏は、かつて五輪選手村について「世界でもっとも(男性ホルモンの)テストステロンに満ちた場所」と形容している。東京の五輪選手村には、約1万人の選手が滞在するとみられ、日本のコンドームメーカーは、外国の消費者に自社製品を売り込みたいと意気込んでいる

日本最大級のコンドームメーカーの相模ゴム工業<5194.T>は、五輪を足がかりに、極薄の自社製品をアピールしたいと期待している。

相模ゴムとライバルのオカモト<5122.T>は、厚さ約0.01ミリという世界でもっとも薄いコンドームを生産している。

「0.02ミリと0.01ミリ台のコンドームを出せているのは、世界的にみても日本の2社しかない。日本の技術力はこれだけすごいんだと、世界の人々にアピールできるいい機会になる」と、相模ゴムの山下博司ヘルスケア営業本部営業企画室室長は意気込む。

2012年ロンドン五輪で配られた英レキット・ベンキーザー製の「デュレックス」や、米国の「トロージャン」、オーストラリアの「アンセル」といったブランドは世界的に有名だが、相模ゴムの山下氏は、同社やオカモトにもチャンスがあるとみている。

相模ゴムの極薄コンドームは中国でも人気で、東京五輪は世界的な認知度を高めるきっかけになるだろう、と山下氏は語る。

五輪組織委員会は、まだコンドームの公式サプライヤーを決定していないが、相模ゴムの山下氏は、国際オリンピック委員会(IOC)から要請があれば、2020年の東京五輪に製品を提供する考えだという。必要数は15万個程度と予想しているという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ政権、零細事業者への関税適用免除を否定 大

ビジネス

加藤財務相、為替はベセント米財務長官との間で協議 

ワールド

トランプ米大統領、2日に26年度予算公表=ホワイト

ビジネス

米シティ、ライトハイザー元通商代表をシニアアドバイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中