最新記事

ユーロ

イタリアの新連立政権、中枢に陣取る「ユーロ懐疑派」たち

2018年6月5日(火)10時00分

6月2日、イタリアで発足した大衆迎合主義(ポピュリズム)政党「五つ星運動」と極右政党「同盟」による連立政権では、ユーロ懐疑派が中枢に陣取っている。写真は新首相に就任した法学者のジュセッペ・コンテ氏。ローマで撮影(2018年 ロイター/Tony Gentile)

仮にイタリアがユーロ圏から離脱するならば、金曜日夜になるだろう。政府高官は極秘に計画を練り上げ、当日夜になってから欧州各国に通知すると同時に、資本の国外流出を防ぐため、銀行と金融市場の閉鎖を命じる──。

これは2015年10月、経済問題専門のウェブサイトに投稿されたイタリアのユーロ圏離脱計画「イタリアのプランB」だ。この80ページの小冊子は当初、ほとんど注目されなかった。

だが、計画の立案者の1人である81歳のエコノミスト、パオロ・サボーナ氏が先週、右派政党「同盟」と新興組織「5つ星運動」が模索する連立政権の経済財政相候補として浮上した。

その後、ユーロ懐疑派が経済相に就くことをマッタレッラ大統領が拒否したため、サボーナ氏は欧州担当相候補に降格される格好となった。

関係者の話では、同盟の内部では、サルビーニ書記長がイタリアをユーロ圏離脱に導き混乱をもたらすとの懸念は全くないという。

それでも「プランB」は依然として、新政権の知的基盤を理解しようとする人々にとって必読書の1つに挙げられている。

事情に詳しい関係者によると、サボーナ氏らのユーロ懐疑派を閣僚に起用する上で、サルビーニ書記長は特に重要な役割を果たした。

新経済相に指名されたトルベルガタ大学のジョバンニ・トリア教授は「プランB」の策定には参加していないが、ユーロの支持者というわけでもない。

トリア氏は昨年、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁がユーロは「不可逆的だ」と述べた際、「ユーロを維持するために必要な改革の条件と時期を明確にしない限りは、ドラギ総裁さえも正しいとはいえない」と主張した。

だがトリア氏は1日夜、ロイターに「イタリアがユーロ圏を離脱しなければならないと言ったわけではない」と語った。

同氏は「欧州をどのように改革するかの議論は、ユーロ圏全体とイタリア国内で進行中だ。イタリアにはユーロ離脱を求める政治勢力はない」と話した。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

中国ファーウェイ、上期は32%減益 多額の研究開発

ワールド

TSMC、企業秘密管理システムを欧米企業に販売へ=

ワールド

ウィッカー米上院議員が訪台、「台湾に自由の権利ある

ワールド

タイ憲法裁、ペートンタン首相の失職認める 倫理規定
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ」とは何か? 対策のカギは「航空機のトイレ」に
  • 3
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 4
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 5
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 6
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 7
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 8
    「ガソリンスタンドに行列」...ウクライナの反撃が「…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    米ロ首脳会談の後、プーチンが「尻尾を振る相手」...…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 5
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 6
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 7
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 8
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中