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「おカネの若者離れ」で、どんどん狭くなる趣味の世界

2018年5月30日(水)15時40分
舞田敏彦(教育社会学者)

博報堂の調査の対象は20~60代だが、この年齢層全体の愛好率を当該年齢人口にかけて、愛好者の絶対数を計算してみた。<表2>は、四半世紀の増加倍率が高い順に34項目を並べたものだ。

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書道、囲碁、お茶といった古風な趣味の愛好者は7割以上減っている。パチンコは6割減、自動車・ドライブは半減だ。読書人口も3077万人から2303万人と、4分の3に減じている。この影響により、街のリアル書店も淘汰されている(「書店という文化インフラが、この20年余りで半減した」)。

<表2>の数値はそれぞれの趣味の愛好者数だが、各業界の躍進(衰退)を示すバロメーターとも読める。数としては顧客を減らしてしまっている業界が多い(細線より下)。人口減少・高齢化により、モノが売れない、サービスの需要が生まれない社会になっているが、その現実の一端が表れている。

ただ、この表に掲げられているのは「伝統的」なもので、新たなものも出現してきている。博報堂調査では「よくする趣味・スポーツ」の項目として、2012年からモバイル・ゲームを追加した。20代の愛好率は12年の15.1%から16年の37.5%に激増している。

時代の変化に即して、新たな製品やサービスへの需要は必ず出てくる。それを見越して柔軟に業態変化を遂げることが、企業にとって生き残りの必須条件となるのだろう。

<資料:博報堂生活総研『生活定点1992-2016』
    総務省『人口推計年報』


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