トランプの輸入車関税引き上げ検討 国内外業界や米与党内が猛批判

4月24日、トランプ米政権が検討している自動車の輸入関税引き上げを巡り、外国政府や海外自動車メーカーだけでなく米国内の業界団体および与党共和党の議員からも厳しい批判の声が上がった。写真はフォードの組み立て工場。ケンタッキー州で2012年6月撮影(2018年 ロイター/John Sommers II)
トランプ米政権が検討している自動車の輸入関税引き上げを巡り、外国政府や海外自動車メーカーだけでなく米国内の業界団体および与党共和党の議員からも厳しい批判の声が上がった。
米商務省は23日、乗用車やトラックなどの車両や関連部品の輸入が国内の自動車産業を侵害し、安全保障を脅かしたかどうか通商拡大法232条に基づき調査を開始すると発表。
全米商工会議所のドナヒュー会頭は声明で、「まさに守ろうとしている業界に想像を絶する悪影響を与えることになり、国際的貿易戦争を引き起こす恐れがある」と警告した。
米国および外資系の自動車大手で構成する米自動車工業会(AAM)は、トランプ政権に「自由貿易の障壁を取り除く」よう訴えるとともに、輸入自動車は国家安全保障へのリスクではないと確信していると表明し、輸入制限を支持しない姿勢を示唆した。
AAMによると、昨年は国内外の自動車メーカー13社が米国内で1200万台近くの自動車を生産。「同業界は引き続き、国内製品の主要輸出業者だ」と指摘した。
米政府統計によると、米国の昨年の自動車輸出は200万台近くで、額にして570億ドルに上った。自動車輸入は830万台で、総額1920億ドル。国別の輸入は、メキシコが240万台、カナダが180万台、日本が170万台、韓国が93万台、ドイツが50万台となった。
薄っぺらな論理
カナダのトルドー首相はロイターとのインタビューで、米国の輸入関税検討は薄っぺらな論理に基づいており、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉でカナダなどに圧力をかける意図があるとの見解を示した。
独IFO経済研究所のエコノミスト、ガブリエル・フェルベルマイヤー氏は、米輸入関税はドイツ国内総生産(GDP)を0.16%押し下げることになると推定。「想定される絶対的損失では、ドイツを上回る国はない」と述べた。
独自動車大手BMW、ダイムラー、フォルクスワーゲン(VW)は北米の高級自動車市場のシェアが合計で90%を上回っている。
ドイツのシュルツ財務相は、欧州連合(EU)は結束して米輸入関税の脅威に対抗する必要があると述べた。