トランプの輸入車関税引き上げ検討 国内外業界や米与党内が猛批判
全米自動車労組(UAW)のデニス・ウィリアムズ委員長は、トランプ大統領の通商政策や国内雇用保護に向けた取り組みを支持すると表明。ただ、これは今年の中間選挙での共和党支持を意味するわけではないと指摘。「議会共和党は国内労働者の要求を完全に無視してきた」と批判した。
議会共和党の複数の議員も自動車輸入に関する調査開始に反対する意向を示した。上院財政委員会のハッチ委員長は、輸入関税は「完全に間違っている」と強調し、「中国の貿易慣行への対応に引き続き注力」するよう政権側に求めた。
自動車業界の幹部らは匿名を条件に、複数の議員がこの問題に関して公聴会開催を検討しており、大統領が通商拡大法232条に基づき調査を指示する権限を制限する措置を提案する可能性があると明かした。
モーニングスターのアナリスト、デイビッド・ウィストン氏は調査メモで、このような措置は安全保障というよりも、トランプ氏が大統領選で勝利した州で雇用を保護するという隠れた狙いがあると分析。「関税(が提案されても)恒久的に実施することはないとみられ、最終的には米雇用の喪失につながる見通しだ」とした。
24日の取引でゼネラル・モーターズ(GM)は1.4%高、フォード・モーターは1.6%高で引けた。
欧州市場ではBMWとダイムラーが一時3.5%下落し、VWは2.5%安で終了。日産自動車<7201.T>への出資を通じて米市場の影響を受けやすいルノーは一時2.1%安となった。
高関税が発動された場合、米国を主要市場と位置付けているトヨタ自動車<7203.T>、日産、ホンダ<7267.T>、韓国の現代自動車<005380.KS>といったアジアのメーカーへの影響は大きいとみられる。
トヨタは、米国が自動車に輸入関税をかければ、米国の雇用が阻害され、米国の消費者にとりコスト増につながる可能性があるとの見解を示した。
日本、中国、韓国の各国政府は状況を注視すると表明。中国政府は自国の利益を守ると付け加えた。
