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トランプよ、北朝鮮の非核化だけでなく自国の軍縮プルトニウム問題も解決せよ

2018年5月1日(火)15時00分


放射能による平和の配当

旧ソ連崩壊後まもなくして結ばれた条約などにより、米ロの核兵器備蓄は劇的に減少した。それと同時に、余剰プルトニウムの処分という大きな問題が両国で理解され始めた。

科学者たちは、悪人が移送をためらうほど危険なプルトニウムを製造したり、地下深く埋めたりといったほぼあらゆる提案を行った。

代わりに米国は、2000年に結んだ協定の下、プルトニウム34トンを兵器に使用不可能なMOXに転換することに合意。ロシアも同量のプルトニウムの破壊に合意。だが、米国では、それまでMOX工場が建設されたことがなく、民間発電所の原子炉も燃料としてMOXを使用したことはなかった。

このような根拠のない楽観主義が、公共建築工事において最も費用のかかる大失敗を導くことになる。

MOX工場の建設が開始されたのは2007年。2016年11月までの稼動開始を目指していた。工事の継続が許されるなら、工場完成は2049年以降になると、エネルギー省は試算している。

同省は2007年、建設費の総額を48億ドル(約5200億円)と推定していたが、現在の見積もりでは170億ドル(約1.8兆円)以上に膨れ上がっている。

工場建設はデザインの詳細が20─40%完成したところで始められた。だが初期工事が終わると、エネルギー省の指示の下で作業していた請負業者は、建築計画なしに工事を進めた。

憂慮する科学者同盟の報告によると、部屋が要らない研究所やオフィスに部屋が造られ、換気ダクトや電気配線は間違った場所に設置された。配管系統も迷路のように見当外れの場所につけられていた。請負業者はその後、作業の大半をやり直さなければならなくなった。

請負業者のコンソーシアムには、蘭CB&I(旧シカゴ・ブリッジ・アンド・アイアン)や仏原子力大手アレバが含まれていた。

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